Subject: [ts-mag:00108] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 313号】
    Date: Tue, 28 Aug 2007 16:09:19 +0900
    From: WAZA Toshihiko


OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users     2007/08/24
Keywords: OpenGIS,TNTmips,Landsat,Spectrum,Infrared,Water,Mask

オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第313号「  赤 外 バ ン ド の 利 用 法  」
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                       株式会社 オープンGIS



メルマガ【第307号】「スペクトルを見てみよう」に掲載している反射率
と波長の関係のグラフを見ると、赤外域の波長(バンド4,5,7)は、
「水域」ではほとんど反射されません。
 http://www.opengis.co.jp/htm/kako_mail/mail_mag_307.htm#SUIIKI

それにくらべて、土壌や植生などの「陸域」を見ると、右端のバンド7
(中間赤外線2)はそうではありませんが、バンド4と5では反射率がか
なり高いことが分かります。
 http://www.opengis.co.jp/htm/kako_mail/mail_mag_307.htm#RIKUIKI#SUIIKI


今週は、このようなスペクトルの特徴の違いを利用して、「陸域」と
「水域」を分ける方法について解説します。


調査は藤田が行いました。


・・・


サンプルデータは、ランドサット画像の無料提供サイトである Global 
Land Cover Facility からダウンロードしたTM画像です。富士山周辺
を切り出して、TNTlite でも扱えるサイズにしました。

 

サンプル画像の中段の右側に「山中湖」が見えます。


▽ 使用するメニューは「ラスタ」>「フィルタ」>「しきい値...」で
す。

 


▼<ラスタのしきい値の決定>ウィンドウと<サンプル結果>ウィンド
ウが開きます。まずは処理対象のラスタを選択します。<ラスタのしき
い値の決定>ウィンドウの[ラスタ(複数)...]ボタンを押します。

 

[ラスタ(複数)]とありますが、複数個のラスタを選択すると、各ラ
スタに対して出力ラスタが作られます。複数個のラスタのラスタ値を考
慮して、1つのラスタを出力するわけではありません。


▼<オブジェクト(複数)を選択>ウィンドウが現れますので、バンド
4を選択しました。

 

バンド4もバンド5も、赤外域を観測しているので、どちらのバンドを
使ってもよいような気がしますが、バンド4を使うと、最も妥当な結果
が得られるようです。今回は、バンド4を使用しました。


▼<ラスタのしきい値の決定(選択ラスタの表示ウィンドウ)>にバン
ド4が表示されます。

 


では、「しきい値」となるラスタ値の候補を調べます。


▼ まずは、ヒストグラムを見てみましょう。

 

一番小さいピークが山中湖を構成する黒いピクセルの分布と思われます。
隣りのピークとの間の境界値は"15"くらいです。

水域の領域がある程度大きいと、このように分布としてヒストグラムに
現れますので、ピークの境界として「しきい値」を見つけることが出来
ます。


「しきい値」を見つける方法としては、次のように水面上で断面のライ
ンを引いて、ラスタ値を実際に調べるのもいいかもしれません。


▼<ラスタのしきい値の決定(選択ラスタの表示ウィンドウ)>の[ジオ
ツールボックス(測定/スケッチ)] ボタンを押します。

 


▼<ラスタのしきい値の決定(選択ラスタの表示ウィンドウ)ジオツー
ルボックス>ウィンドウが開きます。このウィンドウの上部にある[定
規(ルーラー)]ボタンが押されていることを確認します。[定規(ル
ーラー)]ボタンが押されていない場合は、このボタンを押してくださ
い。

 


▼<ラスタのしきい値の決定(選択ラスタの表示ウィンドウ)>に戻り
ます。山中湖の端から端までルーラーを伸ばします。湖岸と重ならない
ように注意してください。

 


▼<ラスタのしきい値の決定(選択ラスタの表示ウィンドウ)ジオツー
ルボックス>ウィンドウの[プロファイル(断面)ビューを開く...]を
押します。

 


▼<断面(プロファイル)表示ウィンドウ>が開きます。このウィンド
ウでは、ルーラーが重なっているラスタのラスタ値が折れ線グラフで表
示されます。このグラフから、ラスタ値の最大値を判断するのは難しい
ので、統計値を見ます。「ファイル」>「統計値...」を選択します。

 


▼<断面統計値>ウィンドウが開きます。この中の Maximum value を見
ると、"15.999352" となっています。つまり、このラインに沿った山中
湖のラスタ値が16未満であることが分かります。

 


▽ 山中湖のラスタ値は、おおよそ16以下であることが分かりました。し
かし、"16"というラスタ値がしきい値として妥当な値であるとは限りま
せんので、16を基準として、妥当なしきい値を探ります。


▼<ラスタのしきい値の決定(選択ラスタの表示ウィンドウ)>に戻り、
[サンプルエリアを選択]ボタンを押します。

 


▼<ラスタのしきい値の決定>ウィンドウに移動し、

	しきい値:16.0
	バイナリ値:0(黒) しきい値未満
	Nullの出力:0(黒)

と設定します。

 

今回は、水域を除外した陸域に対して画像分類を行うつもりなので、水
域となる"0" の領域を Null にしました。


▼<サンプル結果>ウィンドウ内には、設定したしきい値で処理した場
合のテスト結果が表示されます。

<ラスタのしきい値の決定(選択ラスタの表示ウィンドウ)>内にある
緑色の線の枠を、山中湖を囲むように移動してください。

 

<サンプル結果>ウィンドウはこのようになりました。

 

黒い部分がヌル値です。山中湖全体がヌル値で覆われます。


▼ 今度は、緑枠を移動させて、富士山の裾野を見てみましょう。

 

富士山周辺に「水域」と判断されるセルがあります。

 


▼ しきい値を"15"、"14"として、山中湖と富士山の裾野を見た場合です。

しきい値が"15"の場合:

(山中湖)

 


(富士山の裾野)

 

しきい値が"14"の場合:

(山中湖)

 


(富士山の裾野)

 

 山中湖も富士山の裾野も、しきい値を下げると、ヌル値が減ります。
山中湖は全面がヌル値で覆われ、富士山の裾野はヌル値がないのが理想
です。

試行錯誤して、妥当なしきい値を決めます。今回は、"15" が妥当なしき
い値と判断しました。これは最初のヒストグラムで見た値と同じでした。


▽ しきい値を決めたら、処理を開始します。


▼<ラスタのしきい値の決定>ウィンドウで、

	しきい値:15.0
	バイナリ値:0(黒) しきい値未満
	Nullの出力:0(黒)

と設定し、[実行]ボタンを押します。

 


▼ 出力ラスタを指定します。


▼ 処理結果を表示すると、このようになりました。

 


作成したラスタは、画像分類などのマスクとして使用することができま
す。







□■Tips□■
===============================================================

フォルダの中に大きなRVC ファイルがたくさん入っていると、TNTmips 
でオブジェクトを選択する際、RVC ファイルのリスト表示に時間がかか
ることがあります。

これは、TNTmips がフォルダを見るとき、RVC ファイルの完全性
"integrity" を1個1個チェックしているためです。フォルダ中のRVC 
ファイルの数が5,000個以上ある場合、またRVC ファイルの中にたくさん
のオブジェクトが入っていると、待つ時間も長くなります。 

RVC ファイルのチェックをしないようにするには、以下のように設定を
変えてください。

「操作ツール」>「システム」>「詳細設定...」メニューの[プロジェ
クト(.RVC)ファイル] タブで、「異常なプロジェクトファイルに色を付
ける」(英語では、Highlight Project File if validation errors 
exist)のチェックをはずします。

 

心当たりの方は、最新バージョンでお試しください。

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エラー・バグ・トラブル
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

○ 先週ご報告しました「v73で、TIFF ファイルからインポートしたラス
タが全体表示されない」エラーが修正されました。

【エラー番号】PAT14558E - The raster imported from TIFF file is 
not visible in full view.

2007年8月22日以降の TNTmips 2007:73 をご使用ください。
 http://www.microimages.com/downloads/tntpatch/v73release.htm


● v73でインポートしたカラーTIFF 画像の色が全体表示で変わる(拡大
すると正常)。

【エラー番号】PAT14614E - The colors in full view is not correct 
for the TIFF file imported.


● v74 の「レンダリング」>「ラスタ...」で、次のエラーが出る。

Invalid parameter(s) used for library function
Error code = -1213   TNT Version: 2008:74

【エラー番号】DMD14609E - Getting invalid parameters used for 
library function error when layouts are rendered to non rvc 
formats

+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +





機能要求
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

● 凡例表示で、ビューの外のレイヤーの名前を青でなく、グレイで表示
してほしい。

【機能要求番号】PAT14625N - Change color of invisible layer 
legend entry to gray.

(関連するメルマガ)
 http://www.opengis.co.jp/htm/documents.htm

+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +





□■ TNT製品アップグレードの値上げのお知らせ □■
===============================================================

★ 2007年9月15日から、旧バージョンから最新バージョン2007:73へのア
ップグレード価格が引き上げられます(従来価格から最大2倍)。

(9月15日以降の価格表)
 http://www.opengis.co.jp/img/info/kakaku_list.pdf

★ 本体価格、年間バージョンアップ(年1回)、ライセンスキーの交換の
費用はそのままです。

★ 旧バージョンをお持ちのユーザ様あてに、マイクロイメージ社から、
郵送あるいはFAX で、価格変更のお知らせが発送されています。内容に
つきまして不明点がございましたら、弊社までお気軽にお問い合せくだ
さい。

☆ マイクロイメージの最近の価格表によると、9月15日以前のアップグ
レード料金もこれまでの価格から若干値上げされております。


<お問い合せ窓口>
	メール:	<sales@opengis.co.jp>
	電話:		(03)3623-2851
	FAX :		(03)3623-3025

何卒よろしくお願い申し上げます。

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■■■■■■ 現 在 の T N T m i p s の 価 格 ■■■■■■


・TNTmips シングルライセンス 	890,400円(送料・税込)
・TNTedit シングルライセンス 	537,600円(送料・税込)
・TNTview シングルライセンス  	 81,900円(送料・税込)

・TNTmips 年間バージョンアップ(年1回分) 147,000円(税込)
・OpenGIS 年間テクニカルサポート         94,500円(税込)


◇ HASP-USB キーへの交換		19,950円(税込)
 http://www.opengis.co.jp/htm/catalog/tntinfo/tntinfo_fixed_license.htm
※交換に際して、お持ちのTNT製品が最近のバージョンである必要があり
ます。


◆ 特別アカデミックライセンス(SAL)のご紹介
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	(プログラム及びサンプルデータCD付き)

	<目次>
	1.空間データの表示
		2次元データの表示
		3次元鳥瞰図の作成
	2.衛星データの取り込み
	3.ジオリファレンス
		地図画像への座標情報付与
		衛星画像への座標情報付与
	4.GPSデータの取り込み
	5.標高データの解析
		陰影図の作成
		断面図の作成
		勾配・斜面方位の演算

 http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm


☆ 新たな項目を追加して、V73 用に改訂中です。

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困ったときの問題解決フローチャート

▼STEP1「ウェブサイトで検索してみる」
▼STEP2「ウェブサイトにある情報を眺めてみる」
▼STEP3「ドキュメントを読んでみる」
▼STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」
▼STEP5「テクニカルサポート」



STEP1 「ウェブ検索テクニック」
 ▽オープンGIS検索システム
 http://www.opengis.co.jp/htm/namazu.cgi
 ▽メールマガジン検索システム
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/namazu.cgi
 ▽マイクロイメージ検索サイト
 http://www.microimages.com/search/
 ▽Google 検索
 http://www.google.co.jp/
 とくに、and検索(キーワードの間に空白)、not検索(キーワードの前に
 - や not を入れる)、とは検索(キーワードの後ろに "とは" をつける)
 を使いこなすと、便利です!


STEP2 「ウェブサイトの有用な情報源」
 ▽オープンGIS ウェブサイト「基本操作」
 http://www.opengis.co.jp/htm/basic/title.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「メニュー解説(Flash)」
 http://www.opengis.co.jp/flash/index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「SML スクリプトの解説」
 http://www.opengis.co.jp/sml/sml_index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「作業で必要となる情報を集約したポスター類」
 http://www.opengis.co.jp/htm/gallery/index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「メルマガバックナンバー」
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/index.htm [日本語]


STEP3 「ドキュメントを読んでみる」
 ▽オープンGIS ウェブサイト「その他ドキュメント一覧ページ」
 http://www.opengis.co.jp/htm/documents.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「チュートリアルテキスト&リモセンテキスト」
 http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm [日本語]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「ワンポイントテクニック集」
 http://www.microimages.com/didyouknow/ [英文]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「TNT入門(Getting Started)」
 http://www.opengis.co.jp/htm/getstart/getstart.htm [日本語]
 http://www.microimages.com/getstart/ [英文]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「リファレンスマニュアル」
 http://www.microimages.com/refman/


STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」
 メーリングリストに参加されたい方は、
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