Subject: OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 21号】
    Date: Fri, 02 Nov 2001 10:41:34 +0900
    From: Taichi FURUHASHI

OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users      2001/11/02
Keywords: OpenGIS,TNTmips,Stream order,Correlation,ENVI,lite,key


オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第21号「 本 流 と 支 流 を m i p s で 区 別 す る 」
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                       株式会社 オープンGIS




高いところから低いところへ。

水は、重力に逆らうことなく、
どんどんと低いところへ移動していきます。
そして谷に集まった水は川となり、山を下り、海へそそぎこみ...

つまり大まかにいえば、水は地表面の傾斜方向によって
支配されているといえます。


そこでコンピューターによって傾斜方向を求めることで水の動きをある程
度表現することが可能になるわけです。いくつかの GIS はこのようにして
標高データから河川の流路をもとめ、ベクタデータとして抽出することが
できます。

TNTmips も Watershed 機能(Process/Raster/Elevation/Watershed...)を
用いることで、河川の流路・流域面積・流域の境界や盆地などの抽出を行
うことが出来ます。

Watershed 機能の出力例




今週はその中でもとくに「川の次数」というものに注目してみます。

川の次数?
簡単にいうと、いくつもの川が合流して大きな川へと変化する過程で、
それぞれランク付けを行っていくというもの。

このような作業を行うことで、例えば、どちらが本流か支流かといった、
川の性質を定量的に示すことが出来ます。



今回のデータは、インストールCD にサンプルデータとして含まれている
C:\TNTDATA\LITEDATA\CB_DATA\CD_ELEV.RVC の
DEM_16bit という DEM(標高データ)を使用しました。

陰影図はこちら




この場所で Watershed 解析を行い出力されたいくつものデータのうち、
流路のデータは STDFLOWPATH という名前のベクタとして出力されます。




このようにして求められた流路データとは、川幅を持たない中心線のみで
表現されたライン・データであることに注目してください。GIS で表現す
ると、その構成要素は、端ノード(Dangling Node)、ライン(Line)、中間
点(Vertex)、交差ノード(Intersecting Node)のみで表現されるわけです。


さあ、ではこのラインデータを DISPLAY 機能で画面上に表示してみまし
ょう。それぞれのラインには STREAM_ORDER という属性テーブルが与え
られており、Horton・Strahler・Shreve・Scheidegger という Field に
細かく分かれていることがわかると思います。




この一つ一つの Field が、川の次数(Stream Order)を与える手法です。
それぞれの手法で与えられる次数というものが変わってくるのです。

では、簡単に4つの方法について解説しましょう。



【ホートンの手法】



水源から発生する支流を持たない細い流路を1次、1次と1次の流路が
合流すると2次... といった形で下流へどんどんと合流していく過程で
その次数が連続的に大きくなっていきます。

さらに、2次の流路ができると、合流する前の2つの1次流路のうち、
距離が長い、もしくは上流へもっとも直線的な連続している流路を2次
流路に格上げする、つまり本流とするならばどちらが成り得るかを判断
する作業を行います。ここの処理が少し大変です。

これで2次の流路が決定されます。2次と2次の流路が合流すると3次。
3次と3次の流路が合流すると4次といった形で、同じ次数の流路が合
流すると次数が格上げされ、その度に多少面倒な本流処理を行っていく
ことになります。

ちなみに、2次の流路に1次の流路が合流しても、格上げはされません。
この場合は2次のままとなります。

結果としては、もっとも次数の大きい流路がその水系の本流であると、
定量的に判断することが可能になります。

また本流の属性値も下流から上流まで同一ですので、GIS でも処理しや
すい点があげられます。

TNTmips で処理すると、ホートンの手法はこんな感じ





【ストレーラーの手法】



ホートンの手法の欠点は、合流ごとに次数を数えなおす手間がかかると
いうことです。この作業効率的な欠点をなくしたのが、ストレーラーの
手法です。

そのため、川の次数を用いた研究の多くはこのストレーラーの手法を用
いております。

基本的な次数の与え方はホートンと同じで、合流ごとの処理が省略され
ています。

TNTmips で処理すると、ストレーラーの手法はこんな感じ





【シュリーブの手法】



ホートンとストレーラーの欠点は、すべての支流の合流を考慮に入れて
いないという点です。

そこでシュリーブは位相数学(トポロジー)の一方向性枝路(リンク)とい
う概念を取り入れ、1次と1次の合流で2次、2次と1次の合流で3次
といった、すべての支流の合流を考慮に入れつつ、その最大次数は上流
側で発生する端ノード(Dangling Node)数、つまり水源点の数と一致する
といった、GIS 的な解析手法を取り込みました。

TNTmips で処理すると、シュリーブの手法はこんな感じ





【シャイデッガーの手法】



同じように、すべての支流の合流を考慮にいれつつ、
ホートンやストレーラーの手法では成り立たなかった分配法則を取り込
んでシャイデッガーは論理的次数区分なる方法を提唱しました。

この手法は、2の累乗の形をとるため、多少扱いが面倒である欠点もあ
ります。

また、シャイデッガーとシュリーブの手法は、その次数が連続的になら
ないといった欠点も指摘されております。

TNTmips で処理すると、シャイデッガーの手法はこんな感じ






いかがでしょうか、なかなかわかりにくい説明で、申し訳ないですが、
それぞれの概念図と、TNTmips での作成例を見ながら、このような表
現方法があるのかと、感じていただければ幸いです。

また、今までは手作業による水系図の作成、次数の割り振りなどを行っ
ていた為に、作業効率のよいストレーラーの手法が多く用いられてきま
した。

しかし、GIS による自動処理によって、複雑なシャイデッガーやシュリ
ーブらの手法も簡単に求まることは、非常に画期的なことだと思います。

とくに、GIS でも使用されている位相数学(トポロジー)を考慮に入れた
シュリーブの手法は、今後 GIS による水系解析でも、より重要度を増
してくるのではないでしょうか。


長くなってしまいましたが、重要なのは GIS によって自動化されたこと
で、今まででは得られなかった大量の情報が簡単に手に入るようになった
ということです。

その多くの情報の中から、本当に必要な情報を取捨選択することが GIS
を利用する上で最も大切なことではないでしょうか。





今週のプチ・テクニック
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
"
" 以前、2つのラスタの相関係数を求める方法を紹介しましたが、
" 複数のラスタを指定して一度に相関係数を求める処理を見つけました。
"
" 今回はどこにあったかといいますと
" 主成分分析機能(Process/Raster/Combine/Principal Components)
" の中です
"
" 結果の統計値の中に、このような
" 相関係数マトリックス(Correlation Matrix)が現れます。
"
"
" --- Correlation Matrix --------------------------
" Raster          RED     GREEN      BLUE  PHOTO_IR
" --------  --------- --------- --------- ---------
" RED          1.0000    0.9770    0.9587    0.1712
" GREEN        0.9770    1.0000    0.9802    0.2550
" BLUE         0.9587    0.9802    1.0000    0.1909
" PHOTO_IR     0.1712    0.2550    0.1909    1.0000
"
"
" これで、最大16ラスタまでは、
" 簡単に相関係数を求められますね。
"
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""




New Things 最新情報
=================================================================
=
= ENVI ハイパースペクトル・データのインポートエラー修正
= http://www.opengis.co.jp/htm/patch/patch.htm#THIRD
=
=
= TNTlite でサイズ制限よりも大きい画像をインポートする際の
= 切り出しインポート解説ページ
= http://www.opengis.co.jp/htm/basic/lite_import.htm
=
=================================================================




バグ・トラブル情報
???
???
??? RVC ファイルにアクセスしようとすると
??? 突然エラーがでてしまう...
???
??? 昨日までは何ともなかったのに...
???
??? 先週、あるユーザーさまからそんな報告をいただき、
??? 大変的外れな回答をしてしまいました。
???
??? そのために、OS の再インストールなど、
??? 大変な苦労をおかけいたしました。
??? 非常に申し訳ないという気持ちと、
??? 最近メルマガを読み始めた方のために、
??? 非常に重要なバグについて再度ご紹介します。
???
???
??? TNTmips ver6.5 をお使いの方はご注意ください!!
???
??? 日本語のフォルダ(ディレクトリ)名を使用している場合、
??? その中にある RVC ファイルにアクセスできない場合があります。
???
??? このバグについては、7/20 付けのメルマガ 第6号にて、
??? ご報告しておりますが、現在のところまだ修正されておりません。
???
???
??? 例えば、「デスクトップ」や「新しいフォルダ」の中に
??? RVC ファイルを置いておくと、そのファイルにアクセスできない
??? 場合があります。
???
??? エラーとしては、様々なエラーメッセージがでてきますので、
??? 「おかしいな?」と思われましたら、
??? パスを調べて、途中に日本語フォルダ名を使用していないか
??? 確認してみてください。
???
??? また、どうしてもそのフォルダで作業をしなければならない場合は、
??? 申し訳ありませんが、TNTmips ver6.4 をご利用ください。
???
??? TNTmips ver6.5 から購入された方も、
??? ver6.4 をインストールすることは可能です。
???
???
???
???




今週の話題 on メーリングリスト
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~
~ 最近ハードウェアキーの故障が相次いでおります。
~ といっても、大きいパラレルだったり、小さいパラレルだったり、
~ シリアルだったりで、バラバラなのですが...
~
~
~ そこで米国マイクロイメージ社からの注意点をご報告しました。
~
~ 「TNTmipsを使用中にキーを抜いてはいけません。抜き差しすると、
~ キーを破壊する可能性があります」
~
~ ただ、あまり使用中にキーを外すことはないと思いますが、
~ みなさまご注意ください。
~
~ また、故障の場合、米国に送り、交換となります。
~ 交換には1万円程度の実費がかかります。
~
~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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■
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■
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■
■■■




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