GPSMac
 ルート・トレース

カーナビでおなじみの、
GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を用いて、TNTmips上で経路をトレースすることができます。

もちろん市販されているハンディレシーバでも同じような機能はありますが、レシーバーからリアルタイムに情報を受け取ることで、TNTmipsで作成した画像の上に現在位置などをプロットすることができ、グランドトゥルースやルートマップ作成に効果を発揮します。


Windowsでのルートトレース
Datumの設定
応用テクニック



本ページ作成時の環境は Macintosh OS8.6(TNTmips 6.5)

このページ内の 目 次
@準備
機材と接続方法
A屋外でのGPS観測
リアルタイム・トレース
Bログの解析
プレイバック機能について




 

準備

フィールドでの調査は、
事前の準備が欠かせません。
まずはじめに、GPSのルート・トレースに必要な
ものについて説明します。





▼最低限必要なものは次の4点です。
・ノートパソコン
・GPSレシーバー
・GPS-パソコン 接続ケーブル
・ルートと重ねる画像


▼特に、重ね合わせる画像には、ジオリファレンスをあらかじめ与えておく必要がありますのでご注意ください。その際、測地基準(Datum)の設定は Bessel1841 もしくは WGS1984 の使用をお勧めします。詳しい測地基準(Datum)の解説についてはこちらを御覧ください。


▼また、多くのGPSレシーバーは、パソコンとの接続端子が9pinシリアルポートに限定されるため、既にUSB端子に取って代わられた現在のノートパソコンの入出力端子に合わせるよう、USB-シリアル変換アダプタを介さなければなりません。加えてMacの場合、TNTmipsのハードウェアキーもまたUSBとなることが多いと思います。そこで、今回はUSBのハブとUSB-シリアル変換アダプターを使用しました。


ELECOM製USBハブ UH-2BVA



KEYSPAN製USB-シリアル変換アダプター USB-PDA-Adapter


▼今回使用した機材とデータは次の6点です。

●Apple製ノートパソコン iBOOK M7707J [USB1ポート]
●EAGLE製GPSレシーバー Explorer [パラレル12ch]
●同 9pinシリアルケーブル
●数値地図25000地図画像 [WGS1984 測地基準]
○ELECOM製USBハブ UH-2BVA
○KEYSPAN製USB-シリアル変換アダプター USB-PDA-Adapter
 (もしくは IO-DATA製 USB-RSAQ)

まず、これらがちゃんと動作・認識するか確認してください。
また、フィールドへ持っていく為のチェックも忘れずに行ってください。
ディスクの空き容量はもちろん、とくにバッテリーのチェックは重要です。


▼接続方法は、ノートパソコンの1ポートUSB端子をハブで2ポートに分岐させ、片方にハードウェアキー、もう片方にUSB-シリアル変換アダプターを接続してGPSレシーバーと繋げました。これを図にすると下のようになります。





▼特に、USBが正しく認識しているか、コントロールパネルのモデム設定を開き、内蔵モデムからUSB-シリアルアダプター名へ変換できるか確認してください。






 

屋外でのGPS観測

さあ、いよいよ機材を持って、フィールドへ出かけましょう。
ここでは機材の接続後、TNTmipsが立ち上がった後での
画像表示、GPSデバイスの設定、現在位置の表示方法
について解説します。



▼TNTmipsの操作の前に、すべての機器が正しく接続されたか確認してください。


▼次に、GPSレシーバー側の設定で、NMEA0183プロトコルの出力をONにし、出力座標の Datum を WGS1984 に設定してください。


▼では、TNTmipsの操作へ移ります。まずはGPSでのルート・トレースで重ねあわせする画像を表示しますので、メニューより Display/Spatioal Data... 続いて New 2D Group を選択します。



▼Group Controls ウィンドウで、ジオリファレンスされている画像(今回は数値地図25000地図画像)を表示します。


▼次に、Group View ウィンドウのメニューより、GPS/Source Manager...を選択します。



▼すると、GPS Source Manager ウィンドウが開きますので、Add Device... ボタンを押します。



▼今度は、Add GPS Device ウィンドウが現れますので、
Protocol: NMEA 0183
Port: USB-シリアル変換アダプター
(今回はKeyspan USB DB9 と認識されました)

を指定し、Settings...ボタンを押してください。
また、NMEA0183ではなくTrimbleのASCIIフォーマットを用いる場合は、Protocolの設定を変更してください。



▼Port Settings ウィンドウが開き、USBポートの細かい設定を行います。
Baud Rate: 4800
 (NMEA 0183は標準で4800bpsまでしか対応していないそうです。)
Data bits: 8
Parity: None
Stop Bits: 1
Flow Control: Hardware

以上が標準的な設定です。また必要に応じて転送速度などの詳細を変更するときはこちらで行います。設定が終わったら、OKボタンを押してください。



▼Port Settingsウィンドウが閉じると、今度は GPS Status and Control ウィンドウが開きます。このStatusタブで時刻が正確に動いていたら正常にGPSからの信号を受信しています。下のLatやLonの値も表示されているはずです。



▼さて、これで終わりではありません。このままではリアルタイムの情報のみを表示しているに過ぎません。得られた情報をログファイルの形で保存しておくと、後々解析に利用できたり、Playback 機能で移動経路を見返すことができます。
GPS Status and Control ウィンドウの Control タブに移り、Start Recording ボタンを押してください。
Select File ウィンドウが現れますので、New File...ボタンを押し、保存するログファイルを指定します。OKボタンを押すと、再び GPS Status and Control ウィンドウに戻ります。先ほどまでは空欄だったLog File:欄には指定したログファイルの名前が表示されたはずです。

これでほぼ作業は終了です。
ログの記録を終了させる場合は、Stop Recording ボタンを押してください。



▼Group View ウィンドウでは、表示している画像の上に、現在地がプロットされているはずです。もし、ここで画面にプロットされている地点がまったく別の場所である場合は、重ねている画像のジオリファレンスが間違っているか、GPSレシーバから出力している座標のDatum設定がWGS84以外になっている可能性があります。Datumに関する情報はこちらを御覧ください。



▼画面にプロットするマークは、Styleを作成することで、自由に変更できます。GPS Status and Control ウィンドウの Symbol タブで、移動時のスタイルと停止時のスタイルをカスタマイズしてみてください。



▼Angleを調整すると、このように進行方向をちゃんと向くように表示されます。



あとは、画面を見ながらGPSを持って、あちこち移動してみてください。
ログの記録を終了させる場合は、GPS Status and Control ウィンドウの Control タブを開き、Stop Recording ボタンを押してください。





 

ログの解析

お疲れ様です。
無事にフィールドから帰ってこれましたね。
では、早速保存していたログファイルを確認してみましょう。
また、PlayBack機能を使うと、
現場でのルート・トレースを再現できますので紹介します。



▼テキストエディター(Simple Textなど)で、保存しておいたログファイルを見てみましょう。
中身はこのようなカンマ区切りのデータになっています。勿論、このままEXCELで読み込むことも可能です。

MicroImages GPS Log Version 1
凡例
年月日(YYYYMMDD),
  時刻(HHMMSS),
     経度[X](deg),
        緯度[Y](deg),
           標高[Z](m),
              経度[X]方向の移動速度(m/s),
                 緯度[Y]方向の移動速度(m/s),
                    高さ[Z]方向の移動速度(m/s),
                       移動方向(°:北から時計回り),
                          速度(m/s),
                            測位情報 *1,
                              衛星数,
データの中身 例
20010531,010129,139.810750,35.720033,95.000000,,,,67.000000,0.000000,9,3,
20010531,010131,139.810750,35.720033,94.000000,,,,67.000000,0.000000,9,3,
20010531,010133,139.810750,35.720033,94.000000,,,,67.000000,0.000000,9,3,
20010531,010135,139.810750,35.720033,93.000000,,,,67.000000,0.000000,9,3,
20010531,010137,139.810750,35.720033,93.000000,,,,67.000000,0.000000,9,3,
20010531,010139,139.810750,35.720033,94.000000,,,,67.000000,0.000000,9,4,
20010531,010141,139.810750,35.720033,97.000000,,,,67.000000,0.000000,9,4,
20010531,010143,139.810750,35.720033,98.000000,,,,67.000000,0.000000,9,4,


*1: 測位情報は 0: 2Dシングル、1: 3Dシングル、2: 2Dディファレンシャル、3: 3Dディファレンシャル、9: 不明 に対応します。但しこの測位情報は、NMEA0183の標準プロトコルでは提供されておらず、Trimble ASCII プロトコル用に用意されたものですので、通常は9を示します。


▼さらに、このログを読み込むことで、得られたルート・トレース情報をリプレイしたり、ベクタやCADデータの入力として利用するなど、様々な活用方法があります。ここでは、そのなかでも基本的なPlayBack(リプレイ)機能を紹介しましょう。
まず、いつものように重ね合わせる画像を開き、Group View ウィンドウのメニューより、GPS/Open Log... を選択します。



▼Select File ウィンドウが開きますので、ログファイルを指定して、OK ボタンを押します。



▼GPS Status and Control ウィンドウの Control タブには PlayBack 用のボタンが現れました。ログファイルを読み込むと自動的に Playback が始まりますので、もう既に画面上ではマークが動いていると思います。早送りをしたい場合は、CDプレーヤーのようなボタンを押すことで、早さの調整ができます。



▼どうでしょうか?ちゃんと動き出しましたか?
これで現場での再現ができます。
より詳しい応用技についてはこちらを御覧ください。




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2001.6.11更新

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