Subject: [ts-mag:00079] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 284号】
    Date: Tue, 30 Jan 2007 09:38:11 +0900
    From: WAZA Toshihiko

OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users     2007/01/26
Keywords: OpenGIS,TNTmips,Lat-Lon,Measure,Distance,Ellipsoid

オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第284号「   緯  度  経  度  で  の  距  離  の  測  定   」
#################################################################
                       株式会社 オープンGIS



グーグルアースを使って、成田からロサンゼルスまでの距離を測ると、
軌跡は湾曲した曲線を描きます。グーグルアースでは、地球が球面であ
ることを考慮して距離を測定しています。


 
湾曲した曲線は、東京、ロサンゼルス、地球の中心の3点を通る平面が
地表面と交差する円(大円)をあらわします。球面上での距離とは、2点
を大円で結んだラインであり、それが最短の長さ(距離)を表します。ち
なみに、その距離は 8,767キロメートルと表示されました。


他方、TNTmips でグローバルジオデータDVD(2006:72) の中のBlueMarble
の画像データを表示すると、縦軸=緯度、横軸=経度の直交座標で表示
されます。


 
イギリスのグリニッジを通る子午線が画像の中心なので、東京-ロサンゼ
ルスを結ぶ線は、先ほどの経路の反対側を通るラインになります。表示
されるラインは直線であり、大円上のラインではありません。ジオツー
ルボックスが示す距離は、28,391キロメートルです。

グーグルアースとジオツールボックスの距離を合計すると、

8,767 km(Google Earth) + 28,391 km(GeoToolbox) = 37,158 km

赤道の周囲の長さは、およそ40,054キロメートルですので、3,000キロメ
ートルほど短い、つまりジオツールボックスの距離が正しくないことが
分かります。

ジオツールボックスについては、ラインを極地方に移動しても距離が変
わりませんので、緯度経度のデータの場合、ジオツールボックスで距離
を測る際、注意が必要です。


・・・


緯度経度座標での距離や面積の計算のアルゴリズムについて、マイクロ
イメージに質問したところ、距離の計算は地球の回転楕円体に基づいて
行なっているとのことです。

面積については、楕円体の表面ではなく、平面に投影して計算している
とのことでした。


TNTmips のベクタオブジェクトには、ラインの標準属性として 
LINESTATS テーブル、 面の標準属性として POLYSTATS テーブルがあり
ます。それぞれの中に Length(長さ)や Area(面積)のフィールドがあり
ます。

緯度経度でジオリファレンスされたオブジェクトについて、これらのフ
ィールドの持つ値が正しいのか、チェックしてみました。

テストには、標準地域メッシュの「1次メッシュ」(世界測地系"JGD2000")
を使いました。各メッシュは、同じ大きさで表示されます。


 
ちなみに、ポリゴンの色は、各1次メッシュの面積(POLYSTATS テーブル
のArea フィールド)をランキング表示しています。図形の見た目の大き
さは同じですが、Area の数値は、北から南に向かって大きくなっている
ことが分かります。

さて、適当に緯度を選んで、『経度1度の長さ』を測りました。

経度1度の長さは、緯度が変わると変わります。赤道で一番長くて(赤道
の周長÷360 = 2 x 3.14 x 6,378 km ÷360 = 40,054 km ÷ 360 = 約
111キロメートル)、南北の両極で 0 メートルになります。


ア) 緯度44度(「名寄」付近)での「経度1度」の長さ:


 
Length は、80,205メートルです。ジオツールボックスでは、約93,526メ
ートルでした。

イ) 緯度36度(「宇都宮」付近)での「経度1度」の長さ:


 
Length = 90,163メートルです。ジオツールボックスでは、約93,678メー
トルでした。

ウ) 緯度24度(「石垣島」付近)での「経度1度」の長さ:


 
Length = 101,751メートルです。ジオツールボックスでは、約93,713メ
ートルでした。


各メッシュは、画面上、同じ大きさで表示されますが、LINESTATS テー
ブルの Length フィールドの数値はこのように緯度によって違います。

Length フィールドの数値の信憑性をチェックするため、回転楕円体の式
から直接経度1度の長さを求めて比較しました。

 http://www.opengis.co.jp/htm/basic/length.htm

今回使用した1次メッシュの測地系は、世界測地系(JGD2000)です。
1メートルの精度で、実際の回転楕円体上の距離と一致していることが
分かります。あるいは、0.001% の精度があるとも言えます。

他の測地系のメッシュデータについても計算しました。
WGS84の場合、楕円体がJGD2000とほぼ同じなので、JGD2000と同じような
結果になりました。日本測地系の場合は、日本の範囲で10メートル程度
の精度になります。あるいは 0.1% 程度の精度があると言ってもいいか
もしれません。


・・・


まとめです。

1)ジオツールボックスでは、データの中央部あたりの縮尺(1度あたり
○○メートルという換算率)を使って、周囲の場所の距離や面積も計算さ
れるようです。したがって、中央より高緯度部では距離は長めに(面積は
大きめに)、低緯度では短めに(小さめに)表示されます。

2)TNTmips のベクタのLength フィールドは、回転楕円体に基づいて計
算されており、計算の精度はかなり高い。

3)Area については、今のところ回転楕円体上での面積を計算できない
ので、くらべようがありませんが、地球の大きさに比べて小さいような
領域では、誤差も小さいと考えられます。定量的でなくて、すみません。




◎関連するメルマガ:【第59号】「正しい距離と面積を知りたい!!」
 http://www.opengis.co.jp/htm/kako_mail/mail_mag_059.htm







□■Tips□■
===============================================================

先週号の★エラー・バグ・トラブルでもご紹介しましたが、重要なので
再度掲載します。

国土地理院の数値地図画像のモザイク(画像結合)において、デフォル
トのまま処理すると、カラーマップがコピーされず、画像がグレイにな
ります。このときは、[コントラスト] タブパネルの[カラーマップの適
用] ラジオボタンを押して、モザイクを行ってください。モザイクされ
た画像にカラーマップがコピーされ、カラー表示されます。

===============================================================





★エラー・バグ・トラブル
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

● V72の空間データエディタを使ってラインを削除すると、ラインが赤
く選択されたままですぐ消えません。マイクロイメージはエラー認識し
ました。

【エラー番号】PAT12742 - Active element remains as marked when 
deleted.

● ベクタのインターセクトで、ソースとオペレータのベクタが同じ輪郭
だと、結果のベクタの周辺の属性がきちんと付かないことがあります。

【エラー番号】PAT12747E - Intersect(and) operation results in 
missing lines at the borders of the data provided. (Vector 
Combinations)

● ポリゴン同士の属性転写で、「完全に内側」のオプションを使うと、
属性がきちんと付かないことがあります。

【エラー番号】PAT12748E - The attributes of the polygons that are 
not completely within are transferred despite the setting. 
(Vector Transfer Attributes)

+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

○ V73 のマックのフローティングライセンスで、ライセンスサーバーへ
の接続時にエラーが出ていましたが、修正されました。

【エラー番号】DMD12438E - Mac: Getting floating license error 
trying to connect a license server

2007年1月27日以降の最新の開発バージョン DV2007:73をお使いください。
 http://www.microimages.com/freestuf/tntpatch/DV73.htm.
 
○ 先週Linux 版での起動エラーについて報告しましたが、Fedora Core 
4, Fedora Code 5(ともに32bit版) を使って、起動およびライセンスキ
ーの認識を確認しました。64bit版でも確認出来次第、報告します。

+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +





機能要求
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

● ジオツールボックスで、常に回転楕円体の上で計測するオプションの
追加。

【機能要求番号】jj1842N GeoToolbox: Add option to always compute 
measurements based on ellipsoid.

● ジオツールボックスで、大円に沿って計測する機能の追加。
【機能要求番号】arc1001N GeoToolbox: Add 'Great Circle' 
measurement tool.

● ジオツールボックスで、精度を上げるため、等面積投影を使ってポリ
ゴンの面積の属性(POLYSTATS.Area)を計算する。
【機能要求番号】jlr5285N GeoToolbox: Compute polygon 'area' 
attributes using equal-area projection for better accuracy.

+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +





★ DV73の使用制限
===============================================================

V72 製品版を購入されているユーザは、DV(開発版)73 を製品版(データ
サイズ制限なし)として使用できます。30日間で使用期限が切れますが、
パッチを更新することでさらに30日間ずつ延長使用が可能です。

RV73 として公式リリースされた後も継続して使用するためには、ライセ
ンス購入が必要です。

DV 版のダウンロードはこちらからどうぞ:
 http://www.microimages.com/freestuf/tntpatch/DV73.htm

===============================================================





□■ お知らせ □■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

大切なお知らせです。

★『TNT製品の年間バージョンアップが年1回になります』

2007年2月15日から、TNT製品の年間バージョンアップの回数が、これ
までの年2回から年1回に変わります。価格は変わりません。

これは、複数プラットフォームのサポート、開発・テストに伴う負荷、
ウェブサーバ製品の開発などのため、年2回の定期的なリリースを維持
するのが難しくなったためです。

2007年2月15日迄のご注文に対しては、最新バージョン(V72)をお持ちの
ユーザは、これまでと同じ金額で V73 とV74 の2回分が提供されます。

ただし、年間バージョンアップを購入するには、2月15日以前、以降に関
わらず、最新バージョンV72 以降を購入済みである必要があります。

かなり先のバージョンまで購入されているユーザは、今回の変更に関わ
らず、購入された回数分のバージョンの使用が保証されます。

・・・

今回の変更は、『シングルユーザ・ライセンス』および『フローティン
グ・ライセンス』をお使いの方が年間バージョンアップを購入される場
合に関係します。

『特別アカデミック・ライセンス(SAL; Special Academic License)』を
お使いの場合、年間バージョンアップ契約は1年という期間が対象です
ので、提供されるバージョンアップの回数がお約束されるものではあり
ませんので、ご注意ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





■■■■■■■ 現 在 の T N T m i p s の 価 格 ■■■■■■

◆ 現在の V2006:72 の価格

・TNTmips シングルライセンス 890,400円(送料・税込)
・TNTedit シングルライセンス 537,600円(送料・税込)
・TNTview シングルライセンス  81,900円(送料・税込)

・TNTmips 年間バージョンアップ(2回分) 147,000円(税込)
・OpenGIS 年間テクニカルサポート       94,500円(税込)

・V2005:71 --> V2006:72へのアップグレード   88,200円(税込)
・V2004:70 --> V2006:72へのアップグレード  132,300円(税込)
・V2003:69 --> V2006:72へのアップグレード  169,050円(税込)


◇ HASP-USB キーへの交換		19,950円(税込)
 http://www.opengis.co.jp/htm/catalog/tntinfo/tntinfo_fixed_license.htm

※交換に際して、お持ちのTNT製品が最近のバージョンである必要があり
ます。


◆『TNTlite日本語解説セット』V72版 好評販売中!!
	(プログラム及びサンプルデータCD付き)

	<目次>
	1.空間データの表示
		2次元データの表示
		3次元鳥瞰図の作成
	2.衛星データの取り込み
	3.ジオリファレンス
		地図画像への座標情報付与
		衛星画像への座標情報付与
	4.GPSデータの取り込み
	5.標高データの解析
		陰影図の作成
		断面図の作成
		勾配・斜面方位の演算

http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■





困ったときの問題解決フローチャート

▼STEP1「ウェブサイトで検索してみる」
▼STEP2「ウェブサイトにある情報を眺めてみる」
▼STEP3「ドキュメントを読んでみる」
▼STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」
▼STEP5「テクニカルサポート」



STEP1 「ウェブ検索テクニック」
 ▽オープンGIS検索システム
 http://www.opengis.co.jp/htm/namazu.cgi
 ▽メールマガジン検索システム
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/namazu.cgi
 ▽マイクロイメージ検索サイト
 http://www.microimages.com/search/
 ▽Google 検索
 http://www.google.co.jp/
 とくに、and検索(キーワードの間に空白)、not検索(キーワードの前に
 - や not を入れる)、とは検索(キーワードの後ろに "とは" をつける)
 を使いこなすと、便利です!


STEP2 「ウェブサイトの有用な情報源」
 ▽オープンGIS ウェブサイト「基本操作」
 http://www.opengis.co.jp/htm/basic/title.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「メニュー解説(Flash)」
 http://www.opengis.co.jp/flash/index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「SML スクリプトの解説」
 http://www.opengis.co.jp/sml/sml_index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「作業で必要となる情報を集約したポスター類」
 http://www.opengis.co.jp/htm/gallery/index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「メルマガバックナンバー」
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/index.htm [日本語]


STEP3 「ドキュメントを読んでみる」
 ▽オープンGIS ウェブサイト「その他ドキュメント一覧ページ」
 http://www.opengis.co.jp/htm/documents.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「チュートリアルテキスト&リモセンテキスト」
 http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm [日本語]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「ワンポイントテクニック集」
 http://www.microimages.com/didyouknow/ [英文]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「TNT入門(Getting Started)」
 http://www.opengis.co.jp/htm/getstart/getstart.htm [日本語]
 http://www.microimages.com/getstart/ [英文]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「リファレンスマニュアル」
 http://www.microimages.com/refman/


STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」
 メーリングリストに参加されたい方は、
 info@opengis.co.jp までご連絡ください。
 弊社からの対応は バグ対応と、新製品告知のみになります。


STEP5「テクニカルサポート」
 テクニカルサポート・ユーザー専用 メールアドレス





############# このメールマガジンの配信について ################

このメールマガジンは、
年間テクニカル・サポートに加入されている、
ユーザーさまのみを対象としております。

基本的には、登録アカウント1つに対して
1ユーザーを配信対象としておりますが、
例えば、研究室の予算で加入された場合などは、
ご購入いただいた指導教官と、実際に TNTmips で作業を行う学生1名の、
計2ユーザーを対象として配信させていただきます。

1アカウントに対して合計3名以上の配信は行いません。
学生さん2名が同じくらい使用する場合は、
申し訳ありませんが、じゃんけん等で1人に決めてください。


また、テクニカル・サポートの期限を3ヶ月以上過ぎてしまった場合は、
メールマガジンの配信を停止させていただきます。

メールマガジンが配信されなくなった時は、
サポート期限が3ヶ月過ぎたとお考えください。



転勤、ドメイン変更などでメールアドレスが変わった場合は、
お手数ですが、弊社までご連絡ください。



テクニカル・サポート活用案内
>サービスその1:緊急なバグ情報はすぐにメール配信します。
>サービスその2:TNTmips に関するどんな質問にも TEL/e-mail/FAX で対応。
>サービスその3:対応は最優先で行います。
>サービスその4:専用FAX質問用紙をお送りします。
>サービスその5:週に1回メールマガジンを配信します。
>サービスその6:展示ブースへご来場の方には特製オリジナルグッズを進呈。
>サービスその7:サポート対応で FTP サイトを 20MB まで利用できます。
>サービスその8:メルマガ・バックナンバー・サイトも利用できます。
>サービスその9:FTP サイトを 500MB に拡張しました...
>サービスその10:現在計画中です...


テクニカル・サポート・ユーザー専用 メールアドレス


テクニカル・サポート・ユーザー専用 FTPアカウント(最大容量500Mbyte)


●テクニカルサポート用にスカイプのIDを用意しました。
テスト利用のためオフライン時は、申し訳ありませんが使用できません。





============ おことわり =============

※OpenGIS Mail Magazine for T.S.Uでは、
 TNTmipsに関わる新しいニュースを、
 毎週金曜日に、皆さまへご提供させていただきます。

※このメールマガジンの転載・転送はご遠慮ください。

================================