Subject: [ts-mag:00042] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 247号】
    Date: Mon, 24 Apr 2006 07:25:36 +0900
    From: WAZA Toshihiko

OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users     2006/04/21
Keywords: OpenGIS,TNTmips,Topographical Properties,Cross, Square
地形, 凸凹

オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第247号「 地 形 特 性 メ ニ ュ ー が新しくなりました 」
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                       株式会社 オープンGIS



傾斜や方角などの地形特徴量を計算するメニューがVer.2006:72から新し
くなりました。

(2005:71までのメニュー)







(2006:72でのメニュー)







新しいメニューの特徴です。

	●アルゴリズムの改良、追加
	●曲率の計算
	●太陽高度の計算機能

今週は、この中の機能の一部について調べてみました。


・・・


○傾斜の計算

 V71までは上下左右の[クロス] と8近傍の[スクエア] の2種類でした。
V72からは5種類になりました。計算には、やはり中心セルを含む周囲3
x3の9個のセルを使用しています。




手法は、次の5種類です。

(1)Exact fit to 4 nearest neighbors and center cell
(2)Quadratic surface, least-squares fit
(3)Quadratic surface, least-squares fit, weighted by 1/distance2
(4)Quadratic surface, least-squares fit, weighted by 1/distance
(5)Quadratic surface, least-squares fit, match central cell

日本語では、

(1)上下左右のセルと中心セルに適合
(2)2次曲面による最小2乗近似
(3)2次曲面による最小2乗近似, 1/(距離の2乗)の重みあり
(4)2次曲面による最小2乗近似, 1/(距離の1乗)の重みあり
(5)2次曲面による最小2乗近似, 中心セルに適合


各手法のアルゴリズムについては調査が必要ですが、次の資料で簡単に
説明しています。

●Computing Topographic Properties
http://www.microimages.com/documentation/cplates/72TopoProp.pdf

●Methods for Computing Topographic Properties
http://www.microimages.com/documentation/cplates/72MethodsTopo.pdf

今回は、富士山近辺の数値地図50mメッシュ(標高)4個をモザイクして、
各手法を使って傾斜量を計算してみました。これまでの[クロス] や[ス
クエア] と比較してみました。

(使用したサンプルDEM)




ある場所の傾斜量の比較です。




参考のために、V71で計算したクロス(上下左右)とスクエア(8近傍)の結
果も一緒に表示しました。またクロスとスクエアについては、アルゴリ
ズムが分かっていますので、SMLを使って計算した結果も一緒に表示しま
した。

(参考)
○第175号「手計算で、勾配を求めてみよう!!」
http://www.opengis.co.jp/htm/kako_mail/mail_mag_175.htm
○第191号「8近傍の勾配計算アルゴリズム!!」
http://www.opengis.co.jp/htm/kako_mail/mail_mag_191.htm


手法の詳細は不明ですが、今回のサンプルデータや単純化したテストデ
ータでチェックしたところ、次のようなことが分かりました。

1.マイクロイメージによると、手法1はこれまでのクロスと等価との
ことです。確かにどの場所でも同じでした。




2.マイクロイメージによると、手法2はこれまでのスクエアと等価と
のことです。今回のデータでは、手法5も同じ値を与えます。




3.手法3と4は、手法1と手法2(,5)の中間の傾斜量を与えるようで
す。

4.V71以前のクロスやスクエアの計算では、ラスタの一番外側のセルが
0ではありませんでしたが、V72では0になっています。




5.クロスやスクエアの計算式では、傾斜の計算において中心セルの標
高は使いません。V71以前では、中心のセルが周囲8個のセルに対して凹
んでいたり突起があると、計算式と若干違う数値を与えていましたが、
V72の手法1や2,5ではそのような現象は修正されました。




例えば、

	中心セルが凹の例:		中心セルが凸の例:
		4 4 4			  4 4 4
		3 1 3			  3 5 3
		2 2 2			  2 2 2

セルサイズを1(meter)とすると、中心セルの数値によらず、クロスでも
スクエアでも両方の場合とも、傾斜は45度にならなくてはいけませんで
した。



○曲率の計算

地形の曲率を計算する機能はV70からSMLで提供されていました。
http://www.microimages.com/documentation/cplates/70CurvScript.pdf
V72からメニューに組み込まれました。

曲率は曲率半径の逆数です。単位は[ラジアン/meter] または[ラジアン
/100meter] で与えられます。

曲率には、断面曲率(Profile curvature またはVertical curvature)と
平面曲率(Plan curvature またはContour curvature)の2種類がありま
す。

(1)断面曲率は、傾斜の方向に平行な縦断面で地表面を切った場合の
曲率を表します。上に凸の場合が正、凹の場合、負の値になります。




曲率の大きな地形は流速が速く、堆積物の侵食や移動の量も大きくなり
ます。

(例) 富士山付近の断面曲率



同心円状の分布が見て取れます。

(2)平面曲率は等高線曲率とも呼ばれます。地表面と水平面との交差
である等高線の曲率を表しています。尾根で正、谷で負の値になります。




平面曲率は、水の流れの集中や拡散の度合いに影響します。

(例) 富士山付近の平面曲率



尾根線、谷線の分布が放射状のラインになって現れています。


・・・


計算手法などまだ明確でないところが多いですが、今後調べていきたい
と思います。

最後に、V72の地形特性分析の手法に関する参考文献をご紹介します。

●Schmidt, J., Evans, I.S., and Brinkmann, J., 2003, Comparison 
of polynomial models for land surface curvature calculation.  Int.
 J. Geographical Information Science, 17: 797-814

●Zhou, Qiming and Liu, Zuejun, 2004, Error analysis on 
grid-based slope and aspect algorithms.  Photogrammetric 
Engineering & Remote Sensing 70: 957-962.

●Florinsky, Igor V., 1998, Accuracy of local topographic 
variables derived from digital elevation models.  Int. J. 
Geographical Information Science, 12:47-61.

●Jo Wood 博士論文(City Univ. London)
http://www.soi.city.ac.uk/~jwo/phd/04param.php3


○アルゴリズムに関する資料をマイクロイメージより入手しました。
(2008年1月1日)
TopoPropCalc.pdf





□■Tips□■
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傾斜量を計算するSMLを公開しました。

○クロス(上下左右)の場合の傾斜量を求めるSML:
http://www.opengis.co.jp/sml/sml_basic/raster/SlopeCross.sml

○スクエア(8近傍)の場合の傾斜量を求めるSML:
http://www.opengis.co.jp/sml/sml_basic/raster/SlopeSquare.sml

最初にDEMラスタを選択して、次に傾斜量(度)を出力するラスタを指定し
てください。

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エラー・バグ・トラブル
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ベクタレイヤーの表示において、特定のベクタを特定の順番で表示する
とクラッシュするエラーがありましたが、今週4月19日以降のV72/V71の
パッチで修正されました。【エラー番号】DMD10531E

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◆◇ 最新ニュース ◆◇
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★ TNT製品 RV2006:72 のダウンロードは以下のサイトから行えます。
http://www.microimages.com/freestuf/tntpatch/v72release.htm

☆ V2006:72 の新機能リストが公開されました。
http://www.microimages.com/featupd/v72.htm

☆ V2006:72 のカラープレートはこちらです。
http://www.microimages.com/announce/RV200672.htm

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V72 を注文された方で、メディアで必要な方は、info@opengis.co.jp
までご連絡ください。弊社で FullバージョンをCD-R に焼いてお送りし
ます。

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現在の 2006:72 の価格

・TNTmips シングルライセンス 890,400円(送料・税込)
・TNTedit シングルライセンス 537,600円(送料・税込)
・TNTview シングルライセンス  81,900円(送料・税込)

・TNTmips 年間バージョンアップ(2回分) 147,000円(税込)
・OpenGIS 年間テクニカルサポート       94,500円(税込)

・2005:71 --> 2006:72へのアップグレード   88,200円(税込)
・2004:70 --> 2006:72へのアップグレード  132,300円(税込)
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▼STEP3「ドキュメントを読んでみる」
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 - や not を入れる)、とは検索(キーワードの後ろに "とは" をつける)
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 http://www.opengis.co.jp/sml/sml_index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「作業で必要となる情報を集約したポスター類」
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 ▽オープンGIS ウェブサイト「メルマガバックナンバー」
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/index.htm [日本語]


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 http://www.microimages.com/getstart/ [英文]
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