Subject: [ts-mag:00089] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 294号】 Date: Mon, 09 Apr 2007 11:47:04 +0900 From: WAZA Toshihiko OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users 2007/04/06 Keywords: OpenGIS,TNTmips, Resample Method, NN, BL, CC オープンGIS テクニカル・サポート専用メールマガジン 第294号「 リ サ ン プ ル の 手 法 に つ い て 」 ################################################################# 株式会社 オープンGIS 画像の幾何補正は、 画像にコントロールポイントで位置情報を与えるジオリファレンス(処理 A)と、それに基づいてセルを再配置するリサンプル(処理B)の、2つの 処理から構成されます。 幾何補正 = (A)ジオリファレンス + (B)リサンプル TNTmips の場合、ジオリファレンスの処理だけでも他の地理データと重 ねて表示することができます。リサンプルすることにより画像の変形を 固定化します。 今週は、処理Bのリサンプルの時に選択する「リサンプルの手法」につ いて解説します。これまであまりメルマガでも紹介していなかったよう です。 ・・・ 「リサンプルの手法」には次の3種類が用意されています。 ● Nearest Neighbor (ニアレストネイバー;最近隣法) ● Bilinear Interpolation (バイリニア;共1次内挿法) ● Cubic Convolution (3次たたみ込み内挿法) さて、これらをどのように使い分けるのがいいのでしょうか? ●まずは、『最近隣(ニアレストネイバー)法』 これは、画像の再配列(リサンプル)に際して、出力画像のセル(の中心) の最も近くにある入力セル(多分、中心で判断して)の値を出力セルの値 にする方式です。 次の図でいくと、水色の格子がリサンプル前の入力ラスタで、黒の格子 が出力ラスタを表しています。最近隣法では、真ん中の太枠のセルの値 は、最も近くにある茶色の入力セルの値になります。 最近隣(ニアレストネイバー)法では、セルの値がリサンプルの前後で変 わらないので、分類結果の画像の幾何補正に使用します。 ●次に、『バイリニア内挿法』です。 これは、出力セルの周囲にある2x2の4個の入力セルを使って内挿す る方式です。 先ほどの図でいくと、太枠の出力セルの値は、近くにある茶色とオレン ジ色の計4個の入力セルの加重平均として計算されます。入出力セルの 中心間の距離を重みとして計算しています。 具体的な式の形は、いろいろな書物に紹介されていますが、たとえば、 http://www.profc.udec.cl/~gabriel/tutoriales/rsnote/cp9/9-7-2.gif の(b)のBi-linear がそれです。距離 s, t は、入力セルと出力セルの位 置によって 0 - 1 の間で変わります。 この方法では"平均"をしているため、最近隣法に比べてなめらかな画像 になります。地物の縁(ふち)の鋭さやコントラストが減少します。 この方法は、元のセルより小さい出力セルにリサンプルする場合に最適 な方法とのことです。 http://www.opengis.co.jp/getstartj/rectify.pdf (11ページ) ●最後に、『3次たたみ込み内挿法』です。 これは、出力セルの周囲にある4x4の16個の入力セルを使って内挿 する方式です。図では、先ほどの茶色とオレンジ色のセルに、水色の部 分のセルを加えて、全部で16個のセルを使って計算します。 重みとしては、x をセルの間の距離として、 f(x) = sin(pi* x)/pi*x を3次式に展開した式を使っています(pi = 3.14)。この式によって、先 ほどのバイリニア内挿法に比べて、鋭く、ぼけの少ない画像を作ります が、計算が複雑な分、処理に時間がかかります。 理由は定かではありませんが、この方法は、元のセルより大きい出力セ ルにリサンプルする場合に好まれるそうです。 ・・・ 簡単な波形のサンプル画像を作り、バイリニア内挿法と3次たたみ込み 内挿法で、結果がどれくらい違うか調べてみました。 (入力用のサンプルラスタ) (水平線の断面) ラスタのサイズは小さく、横20, 縦10(ピクセル)です。これを縦横5分 の1のセルサイズにリサンプルしました。ラスタサイズは、100 x 50 に なります。また出力ラスタのデータタイプは、小数部が切り落とされな いように、32ビット浮動小数点にしました。 ジオリファレンスの付いた地理データのリサンプルの場合は「ラスタ」 >「リサンプルとリプロジェクト...」を使いますが、今回のようにオブ ジェクト座標に基づいてリサンプルするときは「ラスタ」>「抜き出し ...」を使います。 結果の画像です。上下端のノイズは境界の影響です。このデータに関し ては、見た目では、バイリニア内挿法と3次たたみ込み内挿法の違いは 大きく見られません。 断面を見ても、大きな差はないようです。 ともに内挿ですので、元の入力ラスタの階段状の変化から大きくはずれ ないように補間されているのが分かります。 参考のため、ラスタの平均値と標準偏差を比べてみました(上下の端は除 いてあります)。 ※表の数値について:メルマガの時点では上下端のみを除いた数値でした。 その後、左右の端も除去して求め直しました。 平均値 標準偏差 ------------------------------------------------------ 入力ラスタ 20 7.21528 最近隣法 20.0957 7.40425 バイリニア法 20.0957 7.34944 3次たたみ込み法 20.0974 7.39345 ------------------------------------------------------ バイリニアで標準偏差がやや小さくなっているのは、単純な平均化によ る結果と思われます。 <実験に使用した入力サンプルラスタ>test.zip <リサンプル後の出力ラスタ>resample_test.zip <参考資料> ○「画像の幾何補正」(原英文) http://www.microimages.com/getstart/pdf/rectify.pdf ●「画像の幾何補正」(和文訳) http://www.opengis.co.jp/getstartj/rectify.pdf □■Tips□■ =============================================================== 空間データエディタで編集で、ベクタデータにトラブルが出たら、 バリデートか、「操作ツール」から「プロジェクトファイルの修復...」 を実行してみてください。 =============================================================== エラー・バグ・トラブル + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + ●V73 で主題によるポリゴンの塗りつぶしを行っていると、次のような エラーメッセージが出ます。 【エラー番号】DMD13379E - Getting "Attempt to read past the end of data area" when try to change the vector theme ●空間データエディタにおいて、ベクタにラインを追加して、バリデー トすると、そのラインが消えてしまうという報告があるユーザ様からあ りました(V72)。 【エラー番号】DMD13292E - Spatial Edit / Vector: Does not properly add line when extend vertice snapping is used. ●Windows 64bit で V73 が起動できない。 【エラー番号】crr13387E - Startup Process for Windows, 64-bit: get missing gdall.dll message when starting TNTmips ●ラスタデータが粗い(小さい)と、プロファイルが正常に表示されない。 【エラー番号】DMD13427E - Profile View: Does not show the elevation change accurately ●単写真のオルソがWindows 2000でうまくいかない。マイクロイメージ では再現していません。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + 新機能要求 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + 今週は特にありませんでした。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + □■ お知らせ(重要) □■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この2月15日から年間バージョンアップの回数が、これまでの年2回から 1回に変わったのは前にお伝えしたとおりです。 http://www.opengis.co.jp/htm/info/change070215.htm 最新バージョンリリース後のアップグレード価格については、これまで 未定でしたが、マイクロイメージ社に確認したところ、金額は据え置き とのことです。 例えば、V73 のリリースの後、V72→V73へのバージョンアップは、従来 の金額のままで、84,000円(税別)になります。 やや不思議ですが、年1回になった今、年間バージョンアップを予約し て買うより、リリースを待ってアップグレードする方が割安です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■ウィンドウズVISTA情報□■ =============================================================== V72 のWindows Vista での動作について: マイクロイメージに確認したところ、マイクロイメージ社は V72 を Vista で使えるように改変しない(サポートしない)とのことです。 V72 は 2006年3月にリリースされ、Vista はその後10ヶ月後にリリース されています。そのため、V72 では Vista をサポートしないとのことで す。Vista でTNT製品を使用するには、V73 にアップグレードする必 要があります。 また 2007:V73 で Vista を使うには、ライセンスキーをHASP-USB キー にしなければならないとのことです。 =============================================================== ■■■■■■■ 現 在 の T N T m i p s の 価 格 ■■■■■■ ◆ バージョンをV2007:73 に変更しました。価格は同じです。 ・TNTmips シングルライセンス 890,400円(送料・税込) ・TNTedit シングルライセンス 537,600円(送料・税込) ・TNTview シングルライセンス 81,900円(送料・税込) ・TNTmips 年間バージョンアップ(年1回分) 147,000円(税込) ・OpenGIS 年間テクニカルサポート 94,500円(税込) ・V2006:72 --> V2007:73へのアップグレード 88,200円(税込) ・V2005:71 --> V2007:73へのアップグレード 132,300円(税込) ・V2004:70 --> V2007:73へのアップグレード 169,050円(税込) ◇ HASP-USB キーへの交換 19,950円(税込) http://www.opengis.co.jp/htm/catalog/tntinfo/tntinfo_fixed_license.htm ※交換に際して、お持ちのTNT製品が最近のバージョンである必要があり ます。 2007:73 は Windows VISTA ではまだ動きませんが、使用にあたって HASP-USB キーが必要です。 ◆『教育用特別アカデミックライセンス(SAL)』のカタログを作成中 <購入>と<レンタル(年単位)>の2種類があります。 ◇『TNTlite日本語解説セット』V72版 好評販売中!! (プログラム及びサンプルデータCD付き) <目次> 1.空間データの表示 2次元データの表示 3次元鳥瞰図の作成 2.衛星データの取り込み 3.ジオリファレンス 地図画像への座標情報付与 衛星画像への座標情報付与 4.GPSデータの取り込み 5.標高データの解析 陰影図の作成 断面図の作成 勾配・斜面方位の演算 http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 困ったときの問題解決フローチャート ▼STEP1「ウェブサイトで検索してみる」 ▼STEP2「ウェブサイトにある情報を眺めてみる」 ▼STEP3「ドキュメントを読んでみる」 ▼STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」 ▼STEP5「テクニカルサポート」 STEP1 「ウェブ検索テクニック」 ▽オープンGIS検索システム http://www.opengis.co.jp/htm/namazu.cgi ▽メールマガジン検索システム http://www.opengis.co.jp/mail_mag/namazu.cgi ▽マイクロイメージ検索サイト http://www.microimages.com/search/ ▽Google 検索 http://www.google.co.jp/ とくに、and検索(キーワードの間に空白)、not検索(キーワードの前に - や not を入れる)、とは検索(キーワードの後ろに "とは" をつける) を使いこなすと、便利です! STEP2 「ウェブサイトの有用な情報源」 ▽オープンGIS ウェブサイト「基本操作」 http://www.opengis.co.jp/htm/basic/title.htm [日本語] ▽オープンGIS ウェブサイト「メニュー解説(Flash)」 http://www.opengis.co.jp/flash/index.htm [日本語] ▽オープンGIS ウェブサイト「SML スクリプトの解説」 http://www.opengis.co.jp/sml/sml_index.htm [日本語] ▽オープンGIS ウェブサイト「作業で必要となる情報を集約したポスター類」 http://www.opengis.co.jp/htm/gallery/index.htm [日本語] ▽オープンGIS ウェブサイト「メルマガバックナンバー」 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/index.htm [日本語] STEP3 「ドキュメントを読んでみる」 ▽オープンGIS ウェブサイト「その他ドキュメント一覧ページ」 http://www.opengis.co.jp/htm/documents.htm [日本語] ▽オープンGIS ウェブサイト「チュートリアルテキスト&リモセンテキスト」 http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm [日本語] ▽マイクロイメージウェブサイト「ワンポイントテクニック集」 http://www.microimages.com/didyouknow/ [英文] ▽マイクロイメージウェブサイト「TNT入門(Getting Started)」 http://www.opengis.co.jp/htm/getstart/getstart.htm [日本語] http://www.microimages.com/getstart/ [英文] ▽マイクロイメージウェブサイト「リファレンスマニュアル」 http://www.microimages.com/refman/ STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」 メーリングリストに参加されたい方は、 info@opengis.co.jp までご連絡ください。 弊社からの対応は バグ対応と、新製品告知のみになります。 STEP5「テクニカルサポート」 テクニカルサポート・ユーザー専用 メールアドレス ############# このメールマガジンの配信について ################ このメールマガジンは、 年間テクニカル・サポートに加入されている、 ユーザーさまのみを対象としております。 基本的には、登録アカウント1つに対して 1ユーザーを配信対象としておりますが、 例えば、研究室の予算で加入された場合などは、 ご購入いただいた指導教官と、実際に TNTmips で作業を行う学生1名の、 計2ユーザーを対象として配信させていただきます。 1アカウントに対して合計3名以上の配信は行いません。 学生さん2名が同じくらい使用する場合は、 申し訳ありませんが、じゃんけん等で1人に決めてください。 また、テクニカル・サポートの期限を3ヶ月以上過ぎてしまった場合は、 メールマガジンの配信を停止させていただきます。 メールマガジンが配信されなくなった時は、 サポート期限が3ヶ月過ぎたとお考えください。 転勤、ドメイン変更などでメールアドレスが変わった場合は、 お手数ですが、弊社までご連絡ください。 テクニカル・サポート活用案内 >サービスその1:緊急なバグ情報はすぐにメール配信します。 >サービスその2:TNTmips に関するどんな質問にも TEL/e-mail/FAX で 対応。 >サービスその3:対応は最優先で行います。 >サービスその4:専用FAX質問用紙をお送りします。 >サービスその5:週に1回メールマガジンを配信します。 >サービスその6:展示ブースへご来場の方には特製オリジナルグッズを 進呈。 >サービスその7:サポート対応で FTP サイトを 20MB まで利用できま す。 >サービスその8:メルマガ・バックナンバー・サイトも利用できます。 >サービスその9:FTP サイトを 500MB に拡張しました... >サービスその10:現在計画中です... テクニカル・サポート・ユーザー専用 メールアドレス テクニカル・サポート・ユーザー専用 FTPアカウント(最大容量500Mbyte) ●テクニカルサポート用にスカイプのIDを用意しました。 テスト利用のためオフライン時は、申し訳ありませんが使用できません。 ============ おことわり ============= ※OpenGIS Mail Magazine for T.S.Uでは、 TNTmipsに関わる新しいニュースを、 毎週金曜日に、皆さまへご提供させていただきます。 ※このメールマガジンの転載・転送はご遠慮ください。 ================================