Subject: [ts-mag:00061] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 56号】
    Date: Fri, 12 Jul 2002 10:00:07 +0900
    From: Taichi FURUHASHI

OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users       2002/7/12
Keywords: OpenGIS,TNTmips,Georeference,Vector,Implied,+-X,Flash


オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第56号「  こ の ズ レ は 見 逃 せ な い . . .  」
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                       株式会社 オープンGIS




出所のわからないベクタデータを渡されたのはいいけれど、
座標情報の精度が悪すぎて、うまく重ならない...

そんな経験のある方、多いのではないでしょうか。

それなりに形はいいのだけど、全体的にズレが生じていて道路が住宅地を
貫通したり、建物が違う場所にあったり。

こうなったらいっそのこと自分で修正してみませんか?


●


GIS の世界では、GCP(Ground Control Point) という言葉があります。
通常、衛星画像などに座標情報を与える作業(ジオリファレンス)にて、
画像の四隅や特徴のあるポイントとして GCP を置き、その座標値を入力
する役目を担っています。

GCP とは「画像上のピクセル座標値」と「実際の空間座標値」の両方を
つなぐ橋渡し役なのです。

場合によっては、座標情報の付いてる画像と付いていない画像をペアで
表示して、お互いの同じ場所を GCP で指定することも...

では GCP を与えられるのは画像データ(ラスタ)のみなのか?と思われま
すが、ちがいます。TNTmips の場合ベクタでも CAD でも同様に GCP を与
えることが出来るのです。

さあ、ここからが本題です。


●


例えば、シェープファイルから RVC 形式のベクタに変換したデータを
想定して手作業による一連の修正作業をご紹介しましょう。

GCP を与える作業は、Georeference 機能を用います。


【作業1】: ベクタデータを開く
メインメニューより、Edit/Georeference... を選択して Georeference
ウィンドウを表示しましたら、メニューより File/Open... を選択します。
Select Object ウィンドウが出てきたら、早速ベクタデータを選択する
わけですが、何故かグレーの文字になり選択できません。

下にはこんなメッセージが...
Object already has implied georeference

いきなりですが、ここが今回の作業の最大の難関です。


【作業2】: Implied Georeference とは何か悩む
Implied Georeference... 直訳すると「暗黙のジオリファレンス」


通常のベクタデータインポート時には TNTmips が、データのメタデータ
を読んだりなどして、勝手にジオリファレンスを付けてしまいます。
インポート時に Projection などを指定できる場合がありますが、あそこ
で指定した投影法や座標系は、実は「暗黙のジオリファレンス」に採用さ
れているのです。

この「暗黙のジオリファレンス」があると、Edit/Georeference... 機能
では、そう簡単にいじることが出来ないよう、データの選択をさせてくれ
ません。逆に「暗黙のジオリファレンス」さえ削除してしまえば、あとは
自由にジオリファレンスを調整することが出来るわけです。


【作業3】: Implied Georeference を削除する
というわけで、一度メインメニューに戻りまして、Support/Maintenance/
Project Files... 機能より、編集したいベクタデータの更に下の階層に
ある Implied Georeference サブオブジェクトを削除しましょう。削除
するには、シングルクリックで選択(黒枠で囲む)して、右下の Delete
ボタンを押します。


【作業4】: 再度ベクタデータを開く
さあ。これでもう一度 Georeference ウィンドウから File/Open... で
先ほどのベクタデータを選択してみましょう。

途中、Georeferenceing Options ウィンドウがでてきますが、後で自動
設定されますので OK でかまいません。
ようやくこれで画面上には、ベクタデータが表示されました。


【作業5】: 参照用データを表示
続いて、Georeference ウィンドウのメニューより、
Options/Show Reference View のチェックをオンにします。これで比較
するデータの表示を行う Reference Object View ウィンドウが現れます。

この Reference Object View ウィンドウにある左上の Add Layer ボタン
をクリックして、既に正しい座標情報が付いているデータ(ラスタでもベ
クタでも CAD でもなんでもかまいません)を開きます。

これで、修正するベクタとその参照用の2つデータを表示する事ができ
ました。


【作業6】: GCP の入力
いよいよ、2つデータを見比べながら、同じ場所を GCP で指定する作業
へと移ってきました。どちらのウィンドウも、右上にある赤十字マークの
Closshair ボタンを押し込んでおけば、画面上に緑色のクロスマークが
現れますので、同じ場所を指定していきましょう。


【作業7】: 変換モデルの指定
おっと、その前に重要なことをご紹介し忘れておりました。

GCP を用いて座標情報をリンクさせるときに、いろいろな変換モデルが
用意されています。今回の場合、Georefernce ウィンドウのメニューより
Model/Piecewise Affine を選択しておいてください。

細かい説明は省略いたしますが、Piecewise Affine は他のモデルと異なり
入力した GCP をすべて正しいと認識して処理します。


【作業8】: 再度 GCP の入力
さあ、GCP の入力に話を戻しましょう。

修正ベクタ側も、参照データ側も、緑色のクロスマークで、同じ場所を
指定できましたら、右クリックすると確定です。
この作業を何度も何度も行って、いくつもの GCP を入力していきます。


GCP の入力が終わりましたら、保存をして作業完了です。Georeference
ウィンドウのメニューより File/Save を選択すると、保存されるジオリ
ファレンスサブオブジェクトの名前を聞いてきますので、デフォルトの
ままで OK ボタンをクリックすると保存完了です。

おつかれさまでした。


●


最後の最後ですが、次の点だけはご了承ください。

「ジオリファレンス作業では、データそのものの数値の置き換えは、
 一切行っていません。GCP を与えただけの作業になります。」

つまり今回の作業では、元々のベクタデータを構成するポイントやライン
のX座標、Y座標を変換してはおりません。変換しているように見えてい
るのは、TNTmips がジオリファレンスサブオブジェクトを読んで、即座に
計算しながら画面上に置き換えているだけです。


では、データをきちんと変換するにはどうしたらいいのでしょうか?

それは Process/Vector/Warp... 機能を用います。この処理を行うと、
ジオリファレンスサブオブジェクトを読んで、元データの座標値そのも
のをキチンと変換してくれます。ベクタ版リサンプリング機能とでも
いうのでしょうか...



文章ばかりで、なかなか解りづらかったと思いますので、
いままでの作業をまとめますと、

重要なことは次の3点

【空間データに座標情報を与える = GCP を与える】
【インポートしたベクタ/CAD には「Implied Georeference」が付いてい
 るので、削除する必要あり】
【GCP を与えただけでは、データは変換されていないので、ラスタの場合
 はリサンプリング、ベクタ/CADの場合は Warp 処理が必要】



ラスタの処理とベクタ/CAD の処理を比較してみると、

★ラスタの場合
インポート > ジオリファレンス(GCP付与) > リサンプリング

★ベクタ/CAD の場合
インポート > Implied Georef. 消去 > ジオリファレンス(GCP付与) > Warp



これで、ラスタもベクタも自由に座標情報を修正できますね。

より詳しい作業については、こちらをご覧ください。
http://www.opengis.co.jp/getstartj/georef.pdf





今週のプチ・テクニック
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
"
" ベクタのジオリファレンスの場合、同じウィンドウ内で2つのデータ
" を比較し GCP を入力するほうが便利な場合もあります。
"
" そんなときは、Options/Show Reference View のチェックをオフに
" して、背景に参照用データを表示しましょう。
"
" GCP の入力は Closshair ボタンではなく、その右隣りにある +-X
" マークの Corresponder ボタンを押し込みます。
"
" 入力ベクタから参照用データに向かってマウスで線を引くように、
" お互いの GCP を入力していきます。
"
" マークの意味は、
" +(入力ベクタ GCP) → X(参照用データ GCP)
"
" です。これで極小的な誤差もバッチリ取り除けますね。
"
"
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""




New Things 最新情報
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=
= 先週完成予定だったのにも関わらずまだ最終チェックをしているような
= 某MI社のようで申し訳ありませんが、今日中には、ほぼ全体の解説が
= つきます。ただ、かなり容量が大きくなってしまったのでブロードバ
= ンド以外の方にはおすすめできません。
=
= TNTmips 総合メニュー解説【オープンGIS Flash サイト】
= http://www.opengis.co.jp/flash/menu.html (約10MB)
=
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バグ・トラブル情報
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前倒しで購入されていた分に関しましては、3回としてカウントされます
が、今後申し込まれた方は、2回分としてカウントされます。

また、今まで新規購入の際に1回分のフリーアップグレード・サービスが
ありましたが、こちらのサービスもなくなりました。

新規購入された場合、そのバージョンのみの対応となります。


わからない点などありましたら、
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年間テクニカルサポート:90,000円(税別)

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