ポイントデータに海がある場合のTIN の作成
ポイントデータに海部のようなヌル領域(No Data)がある場合のTIN の作成処理 では、ヌル領域に不要なTIN が発生しないようにクリップオプションを使用します。 (関連資料)TNT入門「地表面モデリング」、 23ページ「不連続線を用いて三角網 を切り取る」 クリップオプションを使うには、切り取り用の海岸線ベクターが必要です。今回は、 モザイクした50m DEM のヌルマスクから作成してみます。 <ヌルマスクから海岸線データを作る手順> ▼[ツール]メニューから[ファイルマネージャ]を選択します。 ▼ポイント発生に使用したモザイクラスタを選択し、サブオブジェクトのヌルマスク を選択します。 右下の再生ボタンを押すと、サムネイルを表示します。 ▼その状態で、[コピー]ボタンを押します(前の図)。コピー先のRVCファイルを 指定して保存します。 表示すると、 ▼このままでは座標情報を持っていませんので、ジオリファレンス情報も同様に [ファイルマネージャ]を使ってコピーします。 また、このままではまだラスタデータですので、クリップオプションで使用出来る ようにベクタデータに変換します。 <ラスタ→ベクタ変換> ▼[各種図形]>[ラスタの変換]>[ラスタ→図形境界]を選択します。 ▼先ほどコピーしたヌルマスクを選択します。 ▼実行します。 ▼ヌルマスクをコピーしたラスタとベクタを重ねて表示しました。 これで一見良さそうですが、実際にこれを使ってTINを作成すると、エラーになります。 よく見ると、内部に陸水を表す小さなポリゴンがあったり、海岸線自体がまだ複雑で、 そのままではTIN 作成に適しません。ここで、さらに続けて、以下のような加工処理を 行います。 <擬似的な海岸線ベクターの加工> 1)まずは、ヌルマスクの輪郭に沿って存在していた四角の境界線は不要ですので削除します。 2)次に、陸域内部の島ポリゴンも消します。これには、CELLVALUE が 0 のポリゴンを 選択し、一括して削除します。ただし、この処理は、次の(3)の処理を行うことにより、 不要になります。 3)全体を囲むように新たに閉じたライン(ポリゴン)を入力し、その内側をポリゴン選択 し、新規ベクターにコピーペーストします。これにより、"包絡線"としての海岸線が 抽出出来ます。作業後、全体を囲むポリゴンはもはや不要なので削除します。 4)あまり小さい島に対して等高線を発生しても意味がありませんので、POLYSTATS テーブルで面積が200万(m2)以下のポリゴンを削除しました。 5)この段階でTINを生成してみると、海岸線がまだ階段状で中間点がTIN の頂点になって 鋭角のTINが多数生成します。 ここで、『ラインの単純化処理』を行い、中間点を間引きます。これには、 各種図形のフィルター処理を使います。Douglas-Peckerの手法を使います。 120meter のパラメーター値で間引きました このような加工処理して単純化した擬似的海岸線ベクタデータを使って、TINを 作成します。 4分程で、九州、南西諸島を含む領域のTIN が作成できました。 拡大図 そのTINを使ってラスターを作成しました。 出来た接峰面の断面を元のDEMと比べてみました。 別の場所です。 ・・・ 今回は、ヌルマスクから擬似的な海岸線データを作り、TIN 処理のクリップに使いました。 基盤地図情報(2500, 25000)の実際の海岸線データを使ってもよいと思われます。 お試しください。 2016年3月25日 (株)オープンGIS