ラインの単純化
ラインの単純化フィルターでは、ベクタオブジェクト中のラインを構成する
中間点(頂点)の数を減らすことによって、ラインの単純化(間引き)を行います。
たとえば、解像度の低い画像を背景にして細かな道路情報を含むベクタオブ
ジェクトを表示する場合、道路の方向が分かれば十分であり、ピクセル中の
道路中の微細な形状はかえって表示を分かりづらくします。そのような時に
道路のラインを間引いて、ベクタデータを表示に適した粗さにすることがで
きます。
ラインを間引いたベクタオブジェクトはサイズが減り、データ処理の時間が
短くなります。また、ラインの単純化フィルターでは、パラメタを指定して、
単純化の効果をいろいろ試すことができます。
[間引きの手法(Thinning Method)]ボタンをクリックしてメニューを表示
し、間引く方法を選択します。現在、[ダグラスーペッカー(Douglas-Peuker)]、
[最小距離(Minimum Distance)]、[最小比率(Minimum Ratio)]の3種類の手法が
用意されています。
(画面例)
A. ダグラスーペッカー(Douglas-Peuker)
ダグラスーペッカーの方法では、ライン上の連続した3頂点の中のまん中の
頂点が外側の2点を結ぶ直線からどの位ずれているかを見ます。計測単位
を指定し、[間引き距離(Thin Distance)]を入力します。[間引き距離]に
よってまん中の頂点が外側の2つの頂点を結ぶ直線からどの程度離れてい
るか判断されます。まん中の頂点と外側の2つの頂点を結ぶ直線との距離
が、指定した[間引き距離]より短いと、まん中の点は削除され、ライン
は直線になります。
B. 最小距離(Minimum Distance)
最小距離の方法は、頂点間の長さに基づいて、ベクタのラインから頂点を
削除します。[間引き距離]フィールドに距離を入力します。[最小距離]
フィルタは、ベクタライン上のある頂点から次の頂点までの長さを計算
します。2つの頂点間の長さが指定した最小距離より短いと、ラインの
始点に近い方の頂点が間引かれます。
次の図は、スキャンした土壌図を表わしています。
緑のラインに対するフィルターの適用結果が赤ラインです(最小距離を25m
に設定)。多くの頂点が削除されており、ラインが直線化しています。
ラインの単純化フィルタ「最小距離」の手法の例.
C. 最小比率(Minimum Ratio)
最小比率の方法は、各ラインの長さに依存した手法です。この方法では、ベ
クタの各ライン毎に、最も短い線分(最小距離)とそのラインの全長を求めます。
ライン中の最小距離の線分は、一般的に各ラインごとに異なります。
スライダーを使って間引き率(0から100の値)を与えます。その値がベクタ
オブジェクトの各ラインに適用されます。あるベクタラインに適用される
間引き距離は、そのラインの全長に間引き率を掛け、結果を100で割り、
さらにそのラインの最小セグメントの長さ(最小距離)を加算した値です。
もし2つの頂点間の長さがこの長さより短いと、ラインの始点に近い方の頂
点から順に削除されていきます。
参考にしたマニュアル(英語)
2012.4.10
株式会社オープンGIS