2006年10月25日にALOSの地球観測データが発売になりました。
JAXAが公開しているサンプルプロダクトのインポートについては、基本操作のALOSのインポートで詳しく解説しました。しかし、製品版の衛星画像とサンプルプロダクトは、イメージファイルのサイズが違うため、サンプルプロダクトをインポートしたときのフォーマットでは、製品版の衛星画像をインポートすることはできません。
基本操作 「ALOSのインポート」:
http://www.opengis.co.jp/htm/basic/alos_import.htm
ここでは、製品版の衛星画像をインポートする際に必要となる情報の調べ方と、その画像のインポートについて解説します。
使用したデータ
センサ :AVNIR-2
処理レベル: 1B2R ジオリファレンス
フォーマット:CEOS形式
今回はCEOS形式のデータを使いました。この場合、インポートした後にジオリファレンスする必要があります。ALOSの地球観測データは、GeoTIFF形式でも販売されており、この形式あれば座標情報が付与されているので、ジオリファレンスする必要がありません。
まずは、イメージファイルの構造を簡単に説明します。ALOSの地球観測データは、ラインヘッダ、ライントレイラ、ファイルディスクリプタ、イメージデータの4つの部分から構成されています。この4つの部分の大きさをきちんと設定しないと、データをインポートできません。これらの大きさは、フォーマット仕様書とイメージファイルに書かれています。
▼フォーマット仕様書に記載されているイメージファイルディスクリプタレコード表から、下にあげた項目をチェックします。
フォーマット仕様書とmips内での表現方法には違いがあります。下の表のカッコ内はmipsでの表現方法です。
| バイトNo | バイト数 | |
| イメージレコード数 (ライン) | 181 - 186 | N |
| イメージレコードの長さ (ファイルヘッダ) | 187 - 192 | |
| ピクセルあたりのビット数 | 217 - 220 | 8 |
| データあたりのバイト数 | 225 - 228 | 1 |
| イメージフォーマット識別 | 269 - 272 | BSQ |
| レコード当りのアイデンティファイアと プレフィックス当りのレコードヘッダのバイト数 (ラインヘッダ) |
281 - 284 | 34 |
| レコードあたりのサフィックスバイト数 (ライントレイラ) | 293 - 296 | 66 |
この表には、イメージレコード数とイメージレコードの長さの具体的な数値が記されておらず、この2つの情報は、イメージファイルから読み取ります。
▼メインウィンドウの[操作ツール]>[その他]>[バイナリファイル閲覧機能...]を選択します。

▼<ファイルを選択>ウィンドウでIMGファイルを選択します。AVNIRの場合IMGファイルは4つありますが、どのファイルでもイメージレコード数とイメージレコードの長さは同じです。ここではIMG-01を選びました。

▼<バイナリファイル閲覧機能>ウィンドウに、IMG-01ファイルのASCIIコードが表示されます。

▼最初の状態では全データが1レコードとして表示されています。このままでは読み取りにくいので、レコードサイズを6にします。

▼まずはイメージレコード数を確認します。イメージレコード数は 181〜186番目に記録されているので、レコードの欄に31と入力します。イメージレコード数は7000です。

▼次はイメージレコードの長さを確認します。イメージレコードの長さは 187〜192番目に記録されています。レコード欄に32と入力します。イメージレコードの長さは8577です。

▼これで、インポートパラメータの設定に必要な情報は全てそろいました。まとめると、このようになります。
| バイト数 | |
| イメージレコード数 | 7000 |
| イメージレコードの長さ | 8577 |
| ピクセルあたりのビット数 | 8 |
| データあたりのバイト数 | 1 |
| イメージフォーマット識別 | BSQ |
| レコード当りのアイデンティファイアと プレフィックス当りのレコードヘッダのバイト数 |
34 |
| レコードあたりのサフィックスバイト数 | 66 |
イメージファイルの構造
以上の情報を元に、画像ファイルのインポート(取り込み)を行います。
最近「単純配列(Simple Array)」を使っての取り込みの方が簡単で、理解しやすいと思いましたので、まずは単純配列での取り込みについて解説します。
以上の情報を元に、AVNIR画像のファイル構造を図解すると、次のようになります。

この情報を元に、単純配列のバイナリラスタのインポート機能を使って、全体のファイル構造の中から必要な部分の画像シーンだけを抜き出します。
▼メインメニューから[メイン]>[入力(インポート)...]を選択します。

▼[ラスタ]ボタンを押して、"SIMPLE-ARRAY(単純配列バイナリラスタ(CEOS形式...等)形式"を選択し、[次...]ボタンを押します。

▼<インポートするファイルを選択してください>と出ますので、インポートするファイルを選びます。
選んだら[OK]ボタンを押します。

▼単純配列用の<インポートパラメータ>ウィンドウが出ます。
上で得たファイル構造の情報を反映するように、数値を与えます。

全部入力が終わったら、[入力(インポート)...]ボタンを押します。
▼新規ファイル名を入力し、[ファイルの作成]ボタンを押します。

▼次に、[名前の自動割り振り...]ボタンを押し、さらに[OK]ボタンを押します。

▼取り込みが開始します。

▼4バンドの取り込みが終わりました。

▼[終了]ボタンで、インポートを終了します。

途中の「ラインを選択」、「カラムを選択」の箇所で値を小さくとれば、TNTmips FreeやBasicで使えるサイズでインポートが可能です。
(単純配列でのインポート解説:2012年5月9日に追加)
▼メインメニューから[メイン]>[入力(インポート)...]を選択します。

▼<インポート(入力)>ウィンドウの[ラスタ]ボタンをクリックします。そして、表示された一覧の一番下にある [USER-DEFINED]を選択し、 [ファイルの選択...]をクリックします。

▼<ファイル(複数)を選択>ウィンドウが現れるので、インポートするファイルを選択します。インポートするファイルは、 IMGファイルです。AVNIR-2_1AプロダクトのIMGファイルを全て選択します。ファイルを全て選択したならば、 [OK] をクリックし<ファイル(複数)を選択>ウィンドウを閉じます。

ウィンドウが閉じたならば、<インポート(入力)>ウィンドウの [次...] ボタンをクリックします。
▼<インポートパラメータ>ウィンドウの[編集]をクリックします。

▼<ユーザー定義ラスタフォーマット・エディタ>ウィンドウが現れます。先ほど確認した値を入力します。
列(カラム)タブパネルでイメージレコードの長さを入力する際は、イメージレコードの長さからラインヘッダとライントレイラを引いた値を入力します。ここでは、
| イメージレコードの長さ | 8577 |
| ラインヘッダ | 34 |
| ライントレイラ | 66 |

▼[ファイル]ボタンからこの設定を保存し、このウィンドウを閉じます。

最後に、<インポートパラメータ>ウィンドウの[入力(インポート)...]をクリックすると、インポートが始まります。
▼インポートしたAVNIRの画像データを、
▼コントラストを調整します。<表示マネージャ>ウィンドウの[レイヤコントロール...]ボタンをクリックし、<ラスタレイヤコントロール>ウィンドウを開きます。

▼[赤]タブパネルに移動し、コントラストを「なし」にします。[緑] タブパネルと[青]タブパネルでも同じようにコントラストを変えます。

全体的に暗い画像になります。

▼明度を調節します。<表示マネージャ>ウィンドウの[レイヤコントロール...]ボタンを右クリックし、[カラーバランス]を選択ます。
<カラーバランス>ウィンドウが現れます。このウィンドウ内の、明度調整バーを右へ移動し、[適用]ボタンをクリックすると、画像が明るくなります。


▼同じ手順でフォールスカラーで表示すると、このようになります。
