********************************************************************** TNTmips V5.7 によるオルソフォト作成メモ 1998年4月 富山県林業技術センター林業試験場 小林裕之 (E-Mail)kobayasi@fes.pref.toyama.jp ********************************************************************** -------------------- 目 次 --------------------- 1)はじめに 2)用意したもの 3)空中写真のスキャン 4)画像のインポート 5)GCPの取得 5-1)立体視と刺針 5-2)GCPの入力 6)内部標定 6-1)主点の決定 6-2)内部標定 7)相互標定 7-1)a small set of orientation tiepointsの取得 7-2)RUN 7-3)a large set of parallax tiepointsの取得 8)TIN,DEMの作成 9)オルソフォトの作成 10)おわりに ------------------------------------------------- ---------- 記 号 ---------- ◆:小見出し ():作業内容 ※:注意すべきこと ■:その他 ---------------------------- 1)はじめに ------------  この文書は,筆者がTNTmipsを使い,ステレオペア写真からデジタルオルソフォトを作成した経過(通算3回目)をメモしたものである。  筆者自身はmips V5.7購入直後の1997年10月と1998年1月の計2度にわたりオルソフォト作成を試みたが,いずれも満足な結果は得られなかった。1,2回目の概要は以下の通りである。 ◆1回目(97/10) タイポイントがうまく増やせず,一応オルソフォトらしきものはできたが,タイポイント群から作成したTIN,DEMの密度が粗く,満足いかなかった。 ◆2回目(98/01) タイポイントはうまく増やせたが,抽出されたDEMの最高点と,地形図上の最高点が一致しなかった。また,できたオルソフォトの精度も今ひとつだった。これは,GCPの不正確さや,高標高点付近でのタイポイントの不足などに起因すると考えられた。 ◆ファイル構成  今回の作業における,筆者のディレクトリ,ファイル構成は以下の通りである。 (私の例)D:\DEMX25B\Airphoto.rvc ※空中写真画像の格納先 (私の例)D:\DEMX25B\Mapimage.rvc ※地形図画像の格納先 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.rvc ※Epipolar画像の格納先 (私の例)D:\DEMX25B\TIN_DEM.rvc  ※TIN,DEMの格納先 (私の例)D:\DEMX25B\Ortho.rvc   ※オルソ画像の格納先  "Making DEMs and Orthophotos"やReference Manualを見ながらオルソを作成される際に,このメモが参考になれば幸いです。(このメモには,マニュアル類に書いてあることは重複して書いてありません。) 2)用意したもの ---------------- ◆マニュアル類  MicroImages社のGetting Started Tutorial Bookletシリーズのうち,"Making DEMs andOrthophotos(DRAFT 12 June 1997)"(以後小冊子と呼ぶ)を,カラープリンタで印刷したもの ※これは英和辞書を引きながら一通り読んだ後,処理段階に対応した箇所を何度も読み返した。なお,mips付属のTNT Reference Manualの該当個所については,プログラムの更新に追いついておらず古いと感じたので,必要に応じて補助的に拾い読みした。 ◆空中写真  地理院撮影,縮尺約1/25,000,撮影高度:3,900m CB-92-2X C2-10(左), C2-11(右)の密着写真1組(スキャン用)   〃   〃  , 〃   の2倍引伸写真1組(立体視用) ◆地形図  地理院1/25,000「能登二宮」 ◆地形図画像  地理院数値地図画像1/25,000「能登二宮」553637.TIF ◆ソフトウェア  TNTmips V5.8(製品版CD-ROM),TNTmips V5.7(98/01/05付最終パッチ版) ※GCPの取得までは最新版のV5.8でやったが,Display/Spatical Dataのスケッチ機能にバグがあることが判明し,写真の主点を求めることができなかったので,安全を期し,内部標定以降はV5.7で作業した。 ◆その他  立体視鏡,スキャナ(EPSON ES-8000 A3対応),デルマト,まち針等 3)空中写真のスキャン ---------------------- (1)2枚の空中写真をEPSON ES-8000でスキャンした。 北が上,250dpi,モノクロ256階調,TIFF形式,※セルサイズ=約2.5m 4)画像のインポート ------------------------ (1)空中写真画像2つと,CD-ROMで買った地形図画像(553637.TIF)をインポートした。 (私の例)D:\DEMX25B\Airphoto.rvc obj:C210D25,C211D25 (私の例)D:\DEMX25B\Mapimage.rvc obj:M553637 5)GCPの取得 ---------------- ※写真画像のGCPは,左写真のみでよい。 5-1)立体視と刺針 ------------------- (1)2枚の空中写真の撮影範囲を地形図に記入した。 (2)オーバーラップ領域を中心に,地形図上の山頂を三角マークで囲んだ。 (3)2倍引伸写真を立体視しながら,地形図上に印を付けた山頂のうち,明瞭に見えるものについて刺針し,デルマトで三角マークを記入し,GCP点として番号を振った。 ■#1〜#36(計36点) (4)オーバーラップ領域内の主な谷の下流部分のうち,明瞭に見えるものについて刺針し,写真と地形図に四角マークを記入し,番号を振った。 ■#37〜#43(計7点) (5)地形図上に記入した山頂や谷の標高を等高線から読みとり,地形図に記入した ※立体視した最高点の標高(たいてい樹冠の頂上)と,地形図の山頂の標高(地面の頂上)は厳密には食い違うが,精密なDEMを抽出することが目的ではなかったので,今回はこの差を無視し,地形図に記入されている標高値そのものや,等高線から読み取った標高値をそのままGCP点の標高とした。また,等高線の読み取りは,5m単位とした。 5-2)GCPの入力 ------------------- ◆地形図画像 (1)地図画像CD-ROM付属のKANRI.CSVファイルに記載されている,当該画像の四隅の4点の Pixel, Line座標値とそれらの緯度経度を用い,Georeferenceを行った。 Setup/Projectionsで,OutputのみUniversal Transverse Mercatorにした System... Universal Transverse Mercator Zone... 53 (E 132 to E 138) ※これは場所によって異なる Projection... Transverse Mercator(自動的に決まる) Datum... Tokyo - Japan Ellipsoid... Bessel 1841(自動的に決まる) ◆写真画像 (1)2倍引伸写真(左側)と,地形図を見比べながら,道の交差点等に丸印を記入し,等高線から標高値を読み取り,GCP点として番号を振った。 ■#44〜#100(計57点) 総計100点 ※地図画像の道路幅が実際の道路幅と異なることがあるので,道路交差点のGCPは交差点のど真ん中を取った。 (2)左写真画像(C210D25)に,上記各GCP点を,Georef済みの地図画像(M553637)を参照画像として取った。 ※残差(今回の場合,残差が200m以上を示す3点に誤りがあった)が極端に大きなGCP点は,その都度,地形図と2倍引伸写真を見比べ,修正した。 ※残差が100mを越えても,ビビッてはいけない。主点から遠く,標高が高い,または低いほど,中心投影に起因する歪みが大きいのは当たり前(正常な歪みと,単純ミスを区別するのは難しいが...) (3)Georeferenceウィンドウで,Editモードでもう一度#1-#100までのすべてのGCP点を眺め,注目GCP周辺のGCP点との相対位置なども参照しながら,ミスがないかを確認した。 (私の例)D:\DEMX25B\AIRPHOTO.RVC obj:C210D25の,subobj:UTM_100aで保存 (4)Support/Maitainance/Project Fileで,UTM_100aのInfoを表示し,100点分の情報をプリントアウトし,地形図に記入した標高と,100個のGCP点に与えた標高(Destination Z)とを比較し,ミスがないかを確認した。 6)内部標定 ------------ 6-1)主点の決定 ----------------- (1)Display/Spatial Dataで左写真画像(C210D25)を表示し,Sketchで四隅の基準点を通る対角線を引き,対角線の交差点(主点)の位置座標を,ExamineメニューのObject Coordinatesで求めた。 (2)右写真画像(C211D25)についても同様にして主点の位置座標を求めた。 ※V5.8CD版ではここにバグがあり,これ以降V5.7最終版に戻った。この辺はV5.9からもう少し楽になるらしい 6-2)内部標定 --------------- (1)Prepare/Raster/Stereoscopic Modeling/Prospective ProjectionのDigital Photogrammetric Modelingウィンドウで,Mode:Interior Orientationとし, Left Image: D:\DEMX25B\AIRPHOTO.RVC /C210D25 ※左写真画像 Right Image: D:\DEMX25B\AIRPHOTO.RVC /C211D25 ※右 〃 Camera Parameters Focal Length: 151.61 mm ※写真に印刷してある Scanner Resolution: 250 dots per inch ※スキャン時の解像度 Principal Points(Left and Right) Line: 1174.8 Line: 1172.5 Column: 1196.8 Column: 1187.9 ※これらは上で求めたもの を入力した。 7)相互標定 ------------ 7-1)a small set of orientation tiepointsの取得 ------------------------------------------------- ※mipsでは,GCPは1から番号が振られるが,タイポイントは0から番号が振られる。 ※GCPの入力,修正と,タイポイントの入力,修正は操作方法が多少違うので注意。 (もう,慣れるしかない!) (1)内部標定と同じく,Prepare/Raster/Stereoscopic Modeling/Prospective ProjectionのDigital Photogrammetric Modelingウィンドウで,今度はMode:Relative Orientationとし,左右画像のオーバーラップ領域内の, 左上, 中央上, 右上 左中央,中央中央,右中央 左下, 中央下, 右下 というように,3x5の計15個(#0-#14)の基礎タイポイントを取得した。 ※このときの基礎タイポイントの範囲がオーバーラップ領域として,Run後に切り出されるので,なるべく広く,つまり隅の方を意識して取った。 ※いくつか基礎タイポイントを取得したら,ParametersタブのDisplay Options中の,ShowColor Coded Correlationボタンを押し込む。(凹んだ状態がON)このボタンを押しておくと,タイポイントの旗印が,相関の高いものから順に,緑,黄,青で表示される。(※赤色は注目タイポイント) ※今回の基礎タイポイント15点取得直後の旗の色(緑:4,黄:4,青:7) ※デフォルトでは,11x11の小ウィンドウ内での,左右画像のタイポイント周辺の濃度値の相関を見て,緑(R>0.75),青(0.5<=R=<0.75),青(R<0.5)の色が付く ※11x11は,ParametersタブのProcess OptionsのCorreration Window Sizeに出ている (2)AutogenerateタブのAdjust All Tiepointsをクリックし,mipsに基礎タイポイントを自動調整させた。 ※この段階での旗の色(緑:9,黄:5,青:1) (3)残った青1点(#14)を黄色以上に上げるために,このタイポイントを手動で調整した。 ※左画像に取った#14が右側の画像にうまくAuto adjustできないようだったので,左画像の#14の位置を少しずらし,右画像での対応する点を手動で取ってUpdateしたら,青から緑に上がった。 ※Auto adjustで相関が上がらない点は,左画像のタイポイント周辺の11x11窓の濃度パターンと非常に近いパターンを持つ点が右画像では見つからないということなので,そのような点は見捨て,近くにずらすとよい(ただし,基礎タイポイントは,左右画像の切り出しに使われるので,大きくずらすと,オーバーラップ領域が痩せてしまうことがあるので 注意) ※ここでもう2〜3回Adjust All Tiepointsをやったところ(緑:10,黄:5)となった。 (4)その後,オーバーラップ範囲を少しでも広くするために,2点追加し,緑12,黄5の計17点の基礎タイポイントを保存した。 (私の例)D:\DEMX25B\AIRPHOTO.RVC obj:C210D25の,subobj:TIEPOINT1 7-2)RUN ------------- (1)前節に続き,Digital Photogrammetric Modelingウィンドウで,RUNアイコン(またはFile/Run)をクリックする。ここで,RUNの結果を格納するための,File/Object Selectionウィンドウが開くので,ファイル名,オブジェクト名等を入力する。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:RIGHT ※このとき,切り出しに使われたタイポイントリスト(この場合は前節のTIEPOINT1)が,obj:TIEPOINTという名前でただ1組引き継がれる。 ※左画像がGCPリストを複数持っている場合,そのすべてがobj:LEFTに引き継がれる。 (2)RUNが終了すると,左写真,右写真から切り出されたオーバーラップ領域がViewウィンドウの左側,右側に表示される。 ※元の左写真にGCPリストが複数あった場合には,デフォルトで一番古いリストが表示されるが,一度終了すると,次回からリスト中の任意のGCPを選択することができる。 (3)ここで一度終了する。 7-3)a large set of parallax tiepointsの取得 ---------------------------------------------- ※このLarge setタイポイントの取得では,手動入力→自動調整→手動修正→自動発生→自動調整→手動修正の手順を何度か繰り返して,数百個にまでタイポイントを増殖させる。 (1)Prepare/Raster/Stereoscopic Modeling/Prospective ProjectionのDigital Photogrammetric Modelingウィンドウで, Left Imageに, D:\DEMX25B\Epipolar.RVCのLEFTを選び,GCPに,UTM_100aを選び, Right Imageに,D:\DEMX25B\Epipolar.RVCのRIGHTを選ぶ。 (2)ParametersタブのShow Color Coded Correlationボタンを押し込み,TiepointsタブのOpenボタンを押して,obj:TIEPOINTを開く。 (3)旗が全部青色(相関低い)になっていたら,Auto Generateタブの,Adjust All Tiepointsをクリックして,自動調整し,調整後のタイポイントをTiepointsタブのSaveボタンをクリックし,適当な名前を付けて保存する。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_17a ※aDJUSTのa(17点) ※これ以降は,取ったタイポイント群を,自分で名前を付けながらこまめに保存した方がよいと思う。(例えば,自動発生1回目直前とか,2回目直前など,後からパラメータを修正してやり直しがきくように) (4)ずばりGCPそのものの位置またはGCPのできるだけ近くに,手動でタイポイントを取った。 ■タイポイントの追加法 (ア)Right画像を,例えば,Scale:1500で固定し,Crosshairアイコンを押し込んだ状態にしておく。 (イ)Left画像で,全体表示→目標GCP付近を拡大→Crosshairモードにし,目標GCPをクリックする。 (ウ)目標点周りの濃度相関の近いタイポイント候補がRight画像中に十字カーソルで表示され,同時に相関係数がTiepointsタブ内に表示される。 (エ)相関係数が0.75より大きく,なおかつ場所が間違っていなければ,Tiepointsタブ内のAddボタンを押す。相関が多少低く(0.5〜0.75位)ても,自信があればAddボタンを押す。 相関が低ければ,目標GCP周りで相関が高くなるところを,左画像を適当にクリックしながら探し,満足な場所が見つかればAddボタンを押す。 ■タイポイントの修正法 (ア)Right,Left画像とも,例えば,Scale:1500で固定し,Crosshairアイコンを押し込んだ状態にしておく。 (イ)Tiepointsタブを押し,ウィンドウ下方に表示されているタイポイント一覧より,修正したい番号の行をクリックする。(ここで,Viewウィンドウ内の左右画像とも,修正したいタイポイントに飛んでくれるはずであるが,右画像が書き変わってくれない場合は,もう一度修正したい番号の行をクリックすると右画像も書き変わる。) (ウ)左画像のタイポイントをずらし,右画像もそれに連動してずれてくれ,相関等がOKであれば,Tiepointsタブの,Updateボタンを押す。 (5)切り出された,オーバーラップ領域内のすべてのGCP(あるいはその付近)へのタイポイント付けが終わったら,一度タイポイントリストを保存する。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_108 ※(108点) (6)Auto GenerateタブのAdjust All Tiepointsボタンを押し,上記タイポイントを自動調整させ,結果を保存した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_108a ※(108点) (7)タイポイント一覧表で,Y Parallaxの高い点がいくつか見られたので,手動修正した。 ※正しく取られたタイポイントのParallax Yは普通-1.00から1.00位の値になり,-9.00とか15.00などの値を持つものはまず間違っており,自動発生のときに警告が出るので,自動調整の後には必ず確認,修正が必要。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_108b ※(108点) (8)GCPがない(従ってタイポイントがない)部分について,空白を埋めるように手動でタイポイントを追加した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_153 ※(153点) (9)Adjust All Tiepointsで自動調整した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_153a ※(153点) (10)Y Parallaxが高い点を修正した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_153b ※(153点) ◆自動発生1回目 (11)これまでの153点のタイポイントを元に,Auto GenerateタブのAuto Generate Tiepointsボタンを押し,タイポイントを自動発生させた。このときのパラメータは,デフォルトの Min. Cross Correlation: 0.75 Minimum Triangle Area: 3000.0 Pixels Maximum Number of Nodes: 3000 Maximum Number of Iterations: 1 Save As TinボタンはOFF で行った。 (12)できたタイポイントセットを保存した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_267 ※(267点) ※このときの自動発生で,100点ほど増えた。 (13)自動調整した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_267a ※(267点) ※この時点での旗の色は,黄:40点程度,緑:残り全部 (14)Y Parallaxが高いものを数点修正した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_267b ※(267点) (15)タイポイントの過疎地域について,空白を埋めるように手動でタイポイントを追加した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_333 ※(333点) (16)Adjust All Tiepointsで自動調整した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_333a ※(333点) (17)Y Parallaxが高いものを4〜5点修正した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_333b ※(333点) ◆自動発生2回目 (18)これまでの333点のタイポイントを元に,Auto GenerateタブのAuto Generate Tiepointsボタンを押し,タイポイントを自動発生させた。このときのパラメータは,デフォルトの Min. Cross Correlation: 0.75 Minimum Triangle Area: 3000.0 Pixels Maximum Number of Nodes: 3000 Maximum Number of Iterations: 1 Save As TinボタンはOFF で行った。 (19)できたタイポイントセットを保存した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_467 ※(467点) ※このときの自動発生で,200点増えた。 (20)自動調整した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_467a ※(467点) ※この時点での旗の色は,黄:70〜80点,青:1点程度,緑:残り全部 ※極端な過疎地や過密地がなく,画像全体に万遍なくタイポイントが取れたと思ったが,500点程度では,まだタイポイントの数が少ないと勝手に判断した。 (21)Y Parallaxが高いものを10点程度修正した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_467b ※(467点) (22)そろそろViewウィンドウ内の相関の高低を示す旗が邪魔になり,どこにタイポイントの隙間があるかが見えにくくなってきたので,ParametersタブのShow Tiepoints Labelsボタンを時々OFFにし,黄色の小さな十字印のみを表示させたりした。 (23)手動入力で既存のタイポイントの隙間を埋めた。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_729 ※(729点) (24)Adjust All Tiepointsで自動調整した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_729a ※(729点) (25)Y Parallaxが高いものを10点程度修正し,1点を削除した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_728b ※(728点) ◆自動発生3回目 (26)これまでの728点のタイポイントを元に,Auto GenerateタブのAuto Generate Tiepointsボタンを押し,タイポイントを自動発生させた。このときのパラメータはSave As TinだけONの Min. Cross Correlation: 0.75 Minimum Triangle Area: 3000.0 Pixels Maximum Number of Nodes: 3000 Maximum Number of Iterations: 1 Save As TinボタンはON で行った。 ※ここで私は,Triangle Areaを,5000.0や1000.0に変えたり,相関係数を0.70にしたりして何通りかの自動発生実験をやったが,相関係数=0.75,最小三角領域=3000.0ピクセルが,既存のタイポイントの隙間をうまく埋めながら数を増やしてくれたような気がしたので,採用した。 ※小冊子には,タイポイントの過密地ができたら,三角領域のピクセル数を増やせと書いてあるが,今回(通算3回目)のタイポイント増殖では,隙間隙間を埋めるようにずいぶん意識して手動入力したので,過密地はほとんどできなかった。 (27)できたタイポイントセットとTINを保存した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_790 ※(790点) (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:TIN ※このときの自動発生で,62点増えた。800点近くあればもういいなと判断した。 (28)Prepare/Raster/Stereoscopic Modeling/Prospective ProjectionのDigital Photogrammetric Modelingを一度終了し,Display/3D Perspectiveで,保存したTINを表示させ,眺めてみた。 ※小冊子には,TINを3D表示してみて,明らかな問題があれば前に戻れとあるが,それらしいものができているようなので,先へ進んだ。 (29)Prepare/Raster/Stereoscopic Modeling/Prospective ProjectionのDigital Photogrammetric Modelingをクリックし,LEFT,RIGHTを表示し,TIEPOINT_790を呼び出し,自動調整させた。(800点の自動調整はさすがに重い。) (30)Y Parallaxが高いものを20点程度修正し,すべてのタイポイントのY Parallaxが−1から+1の間に収まるようにした。また,2点を削除した。 (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_788b ※(788点) ※タイポイントも800点近くになると,#0〜#787までのリストを一覧して,Yパララックスが高いものを探すのも大変だ。上から下まで2往復位すると,眼がチカチカする。Yパラが高いものから降順にソートする機能がほしい! ※この時点での旗の色は大雑把に,緑:500点程度,黄:300点程度,青:10点程度 8)TIN,DEMの作成 ------------------------ ◆DEM抽出1回目 (1)Prepare/Raster/Stereoscopic Modeling/Prospective ProjectionのDigital Photogrammetric Modelingウィンドウ内で,Mode:DEM Extractionを選び,LEFT(UTM_104a),RIGHTを表示した。 (2)Parametersタブで,Select Tie Pointsボタンを押し,TIEPOINT_788bを選んでクリックした。 ※この時点でのParametersタブ内のデフォルトのパラメータ値は以下の通り。 Min. Cross Correlation: 0.71 Minimum Triangle Area: 30.0 Pixels Maximum Number of Nodes: 12000 Maximum Number of Iterations: 10 Correlation Window Size: 11x11 (3)Parametersタブで,Estimate Parametersボタンを1回押すと,mipsが何やら計算をして,最適な?パラメータ値を決めてくれた。それらは以下の通り。 Min. Cross Correlation: 0.63 ※変更あり Minimum Triangle Area: 30.0 Pixels Maximum Number of Nodes: 54511 ※変更あり Maximum Number of Iterations: 10 Correlation Window Size: 11x11 ※5-1)で,「精密なDEMを抽出することが目的ではなかったので,」と書いたが,せっかくmipsが決めてくれたパラメータ値なので,このままでDEMの抽出を行うことにした。 (4)Optionsタブで,小冊子の通り,Save Result As TINボタンが押し込まれていることを確認し,また,Output Data Typeを16-bit signed integerに変更した。 (5)Digital Photogrammetric Modelingウィンドウ内のRUNボタンを押し, ファイル名を,D:\DEMX25B\TIN_DEM.RVC, オブジェクト名を,DEM_788b,TIN_788b と命名した。これでDEMの抽出が始まる。 ※このノード増殖のための10回の繰り返し処理で,TINのノード数は41169まで増えた。 ※この処理後半の,DEM抽出一歩手前で以下のようなメッセージが出た。 Message Mixing arbitrarily or nongeoreferenced layers with georeferenced layers within the same group may not result in a meaningful display. Error code = -4504 しかし,OKボタンを押したらそのまま処理が進んだので,とりあえずこの警告は無視した。 ※処理が終わると抽出されたDEMが,DEM Viewタブウィンドウに表示される。処理時間は,49分43秒と表示された。(Pentium 200MHz相当Cyrix 6x86L-PR200+) (6)Display/Spatial Dataで,このDEMをContrast:Auto Equalizeで表示し,点検したところ,DEMがうまくできていない,三角形状の異常部分が7〜8ヶ所見られた。(白い背景中の真っ黒な小さな三角や,黒い背景中の真っ白な小さな三角など)このままオルソを作ると,この微小三角地帯に相当する部分のオルソ画像がピンぼけになることを前回(通算2回目)の作業で経験していたので,相互標定に戻り,それらの部分のタイポイントを手動で入力することにした。 (7)Display/Spatial Dataで表示したDEMと,Digital Photogrammetric Modelingで表示したLEFT画像を,ほぼ同サイズになるよう,ウィンドウの大きさを調整し,どの辺にタイポイントが不足しているかの目星を付けた。 (8)Digital Photogrammetric ModelingのRelative Orientationにおいて,DEMの空白地帯1ヶ所につき7〜8点のタイポイントを手動で追加した。(計61点追加) (私の例)D:\DEMX25B\Epipolar.RVC obj:LEFT subobj:TIEPOINT_849 ※(849点) ◆DEM抽出2回目 (9)Mode:DEM Extractionで,タイポイントを読み込み,Estimate Parametersボタンを押し(パラメータ値は前回と変わらず),Output Data Typeを16-bit signed integerに変更し,RUNボタンを押し, ファイル名は,D:\DEMX25B\TIN_DEM.RVC そのままで, オブジェクト名を,DEM_849,TIN_849 と命名した。これでDEMの抽出が始まる。 ※このノード増殖のための10回の繰り返し処理で,TINのノード数は44003まで増えた。 ※ここでまた前回と同じ警告メッセージが出た。 ※処理が終わると抽出されたDEMが,DEM Viewタブウィンドウに表示される。処理時間は,43分18秒と表示された。(Pentium 200MHz相当Cyrix 6x86L-PR200+) (10)抽出されたDEMを表示してみたところ,前回の空白地帯は今回はほとんど目立たなくなっていた。細かく見れば,まだ何カ所か微小三角形異常地帯が存在したが,とりあえず先に進むことにした。 ◆DEMの検証 (1)地図画像から,Prepare/Raster/Extractで,空中写真のオーバーラップ範囲のみを切り出し,地図画像の背景(白色で,値=0)をNULLに設定した。(TNTガイド参照) (私の例)D:\DEMX25B\Mapimage.RVC obj:M553637_Ovr (2)Display/Spatial Dataで,DEM画像を下に,切り出した地図画像をNULL値透明で重ね合わせて表示し,地図に記載されている山頂の標高と,DEM画像中の比較した。 ・画像内主峰(石動山山頂)地図:564m, DEM:538m ・画像内次峰       地図:513m, DEM:520m ・画像内三角点      地図:343.5m,DEM:336m ・画像内山頂       地図:313m, DEM:311m ・  〃         地図:377m, DEM:389m ・  〃         地図:486m, DEM:467m ・  〃         地図:490m, DEM:489m ※地図の標高が地表面を,DEMの標高が樹冠面を表していることを考慮すれば,概ね良好なDEMができたと感じたが,石動山山頂付近では,地図上の山頂より東に約25ピクセル(62.5m),北に約20ピクセル(50m)ほどずれた位置に,DEM画像のピーク標高573mが存在することが判明した。とりあえず先に進み,予想される手戻り作業後に再検証することにした。 9)オルソフォトの作成 ---------------------- (1)Prepare/Raster/Stereoscopic Modeling/Restitution(注:Prospective Projectionではない。将来こっちからオルソが作れるらしい)で, Aerial Photoに,EpipolarのLEFT(GCP:UTM_100a)画像を, Digital Elevation Modelに,DEM_849(GCP:UTM_100a)画像を, 指定した。 このときRestitutionウィンドウ内のInput Imagesタブには,以下の値が表示された。 (標定統計値)Orientation Statistics: −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Number of points 84(*1), RMS error - x: 0.675, y: 0.977 (pixels) Orientation angles (deg): 2.1114(*2), -0.5653(*3), 1.3518(*4) Camera position - X: -1119.483, Y: -130.041, Z: 3429.796(*5) Principal point location - line: 1115.7, column: 345.8 Adjusted focal length: 5.968886 (inches) Cellsize -DEM: 2.36672, Aerial photo: 2.36526 (meters) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− TNTmips 5.7 Reference ManualのPrepare編p.126や,小冊子のp.16に,ここで表示される値の説明が載っている。 *1)100個取ったGCPのうち,84個がLEFT画像にに含まれた。 *2),*3),*4)この3つの角度は,カメラの傾きを示し,特に最初の2つ(*2と*3)は,0(ゼロ)に近いほどよいと書いてあり,これらが+−3度を超えたままRUNボタンを押すと,警告が出る。 *5)これはカメラの標高を示しており,撮影高度に合えばよい。今回のものは撮影高度H=3,900mと写真に写っていたので,まあまあだった。 ※カメラの傾き,標高が極端に悪くはなかったのでとりあえず先に進んだ。 (2)RestitutionウィンドウのRUNボタンを押し,ファイル名,オブジェクト名を与えてオルソを作った。(2分13秒) (私の例)D:\DEMX25B\Ortho.RVC obj:Ortho_849 (3)Display/Spatial Dataで,オルソ画像を下に,地図画像(M553637_Ovr)をNULL値透明で重ね合わせて表示し,道路の線形などが合っているかどうかを比較した。気付いたことは以下の通り。 ・地図画像の道路と,オルソ画像上の道路は概ね重なっていたが,場所によっては道幅1つ分から3つ分程度のずれが認められた。 ・オルソ画像の右上部,右中部,右下部において,部分的に画像のピンぼけ(霜柱が立ったように見える)が生じていることが判明した。注)以下この現象を「霜柱現象」と呼ぶ。 ※というわけで,できたオルソ画像に満足いかなかったので,もう一度やり直すことにした。 ◆苦難の日々  道路との重なり具合はさておき,「霜柱現象」が気になってしかたがなかった私は,この現象を消すべく,悪戦苦闘の日々を数日間過ごした。 (A)霜柱ができた部分に,青旗印(R<=0.5)のタイポイントがいくつかあったので,この青タイポイント(全800個中,10固程度残っていた)が悪さをするのかと思い,これらをすべて黄色(0.5