Subject: [ts-mag:00124] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 329号】
    Date: Mon, 21 Jan 2008 17:57:37 +0900
    From: WAZA Toshihiko


OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users     2007/12/21
Keywords: OpenGIS,TNTmips,64bit環境,マルチコア,マルチスレッド

オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第329号「 64 ビ ッ ト 環 境 の 現 状 」
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                       株式会社 オープンGIS



パソコンのCPU が64bit になって、そろそろ64bit 環境に移行しようと
お考えのユーザも多いと存じます。

今回は、64ビット環境のメリットや問題点についてご紹介します。


・・・


マイクロイメージ社のv73 のホームページから、Windows 版 と Mac 版 
のTNTmips がダウンロードできます。
 http://www.microimages.com/downloads/tntpatch/v73release.htm

Windows を見ると、"32-bit" と"64-bit" に分かれています。

 

"32-bit" は、Pentium 4 など、32bit のCPU で使用するためのものです。

"64-bit" は、最近の Core2Duo(インテル社) や Athron(AMD社) などの
64bit CPU で使用するバージョンですが、Windows の場合、OSが32bit
と64bit 版に分かれています。

64bit CPU では、64bit 版のWindows(XP, Vista) 以外に、32bit 版の
Windows もサポートしています。

また、64bit 版のWindows では、"64-bit"と"32-bit"の両方のTNTmips 
が動作します。


CPU, OS(Windows), TNTmips の関係を分かりやすく表にしてみました。


CPU	OS	TNTmips
==========================
32-bit	32-bit	32-bit	○
64-bit	32-bit	32-bit	◎
64-bit	64-bit	32-bit
64-bit	64-bit	64-bit


このうち、○や◎をつけた組み合わせが、現状で一番多く使われている
TNTmips の環境と思います。


・・・


TNTmips は、OS やCPU などのプラットフォームによらずに、同一機能を
実現するという設計思想を採用しています。そのために、サポートする
すべてのプラットフォームにおいて同一のソースコードを使用していま
す。

Windows(XP, Vista) の32bit版と64bit版においても、TNTmips のソース
コードは一緒です。プログラムを64bit用に特別に最適化して、高速化し
ているということはありません。それぞれのコンパイラを使用して、ソ
ースをコンパイルしているにすぎません。

たとえば、流水処理は、v73以降、大サイズの標高ラスタにも対応できる
よう、かなりの改善がなされました。しかし、これもソースレベルでの
改善であり、64bit 版の TNTmips が特に有利ということはありません。

ただし、64bit環境では、32bit環境にくらべてより多くのメモリを使う
ことができますので、TNTmips の中でもメモリを頻繁に使用するような
処理では、その高速化が当然期待されます。

とは言え、GIS のようなアプリケーションでは一般的に、処理するデー
タが大きくなることを想定して、メモリよりもディスクIO をメインとし
たプログラムになっていることも事実です。


・・・


というような中で、マイクロイメージは最近、マルチスレッドを使って
処理速度を向上させる工夫をしています。プログラムの更新に合わせて、
徐々にですが、マルチスレッドに対応するようにプログラムを書き換え
ています。TNTsim3D やTNTserver では、かなりの部分でマルチスレッド
を使用しているとのことです。v74では、表示プロセスにマルチスレッド
を利用するよう、作業中です。

マルチスレッドの効用について「JPEG2000 圧縮を例として」: 
http://www.microimages.com/documentation/cplates/73JP2multithread.
pdf

マルチスレッドを利用するには、CPU が"マルチコア"である必要があり
ます。マルチコアに対応したCPUは、現状ではすべて 64bit CPU です。


先ほどの表にも示しましたが、64bit CPU で、Windows XP の32bit版を
使っているのが、一番多いパターンかもしれません。

マイクロイメージによれば、プログラムにマルチスレッドの仕組みが組
みこまれていれば、32bit OS でもマルチコア/マルチCPU の恩恵を受け
ることが出来るとのことです。


OS に Windows VISTA(32bit版)を使う場合はどうでしょうか。VISTA は 
XPより大きなマシンパワーを必要としますので、OS 自体でも XP にくら
べてかなりのオーバーヘッド(負担)になります。


Windows VISTA(64bit版)を使う場合はどうでしょうか。

64bit OS では、搭載できるメモリの容量を大きく出来ますので、マルチ
スレッド実行の際のメモリとハードディスクの間のスワップの問題をか
なり軽減できると考えられます。

問題は、Windows XP(64bit版) と同じく VISTA の64bit版においても周
辺機器のサポート(ドライバ)の問題があるということです。64bit OS の
導入にあたっては、必要な周辺機器が使えるかどうか、確認してから導
入することになります。


■ 現状で最適の Windows OS は?

上で説明しましたが、64bit OS は周辺機器のサポートの点で 問題がな
いとは言えません。

周辺機器の確認がとれない場合は、Windows XP あるいはVista の32bit
版を使用されるのが現状では無難と思われます。

この場合、TNTmips は従来の開発環境で実績のある 32bit版 を使用する
ことになります。

(TNTmips は、32-bit版、64-bit版いずれでも特別の費用なしに使用する
ことができます。)


■ ハードウエア

・CPU

予算が許せば、Core2Duo(3 GHz)といったデュアルコアや、マルチコアの
CPU が望ましいです。マルチスレッドの点から、無駄な投資にならない
でしょう。

・メモリ

多いに越したことはありませんが(例えば、4 GB 程度)、これも予算と相
談です。

・グラフィックカード

これは重要です。VRAM の容量は最低でも128MB はあった方がよいでしょ
う。Windows Vista の場合、新しいので動作の保証・確認が必要です。


・・・


マックOS については、ユーザが 32bit, 64bit といった区別をする必要
はありません。

Power PC の64 bit CPU であるG5では、64-bit 版のTNTmips のほか、
32-bit版のTNTmips も動作します。

 
 

TNTmips の64-bit版 と32-bit版 の違いということでは、AutoCAD のDXF
ファイルやDWGファイルのインポートが、v72 の64bit版においてサポー
トされていません。これは、AutoCAD 関係のライブラリが64bit環境でサ
ポートされていなかったことが原因です。32-bit では問題はありません。

こういったライブラリの問題も、64bit という新しい環境が持つ課題の
1つです。なお、上の64-bit版での DXF/DWG インポートの問題はv73 で
解決されています。


インテルマックについては、64bit CPU の採用は進んでいますが、
TNTmips の方はまだ32-bit版 しかリリースされていません。何か事情が
あるのでしょう。

 
 

・・・



以下の資料に、64bit CPU について解説があります(英文)。
 http://www.microimages.com/relnotes/200571/rel200571.htm
("64-bit Processor Hype" の部分)

ご参考まで。







□■Tips□■
===============================================================

★「値で決めるヌル」と「領域で決めるヌル」

ヌルとは、ラスタデータで値(データ)が存在しないピクセルのことです。
たとえば、フルシーンの衛星画像で、平行四辺形の隅っこにある黒い三
角形はヌルです。

ヌルの設定方法としては、1)値を決めて設定する方法と、2)領域を
決めて設定する方法の、2通りがあります。


1)の方法は、プロジェクトファイルのメンテナンスで行います。ラス
タを選んで、セルの値をヌルとして設定します。

2)は"ヌルマスク"という新しい機能に関係します。ヌルマスクはv71 
から導入されました。ヌルマスクを作る典型的な方法は、ラスタをポリ
ゴンなどで抜き出す場合です。抜き出しをすると、ヌルマスクという(0, 
1)のバイナリラスタがサブオブジェクトに作られます。ヌルマスクが 0 
であればヌル、1 であればヌルではありません。


ラスタにヌルマスクがすでにあると、ヌル値の設定ができなくなります。
ヌルマスクが不要であれば、削除してください。ヌル値の設定が出来る
ようになります。

(この辺は"暗黙のジオリファレンス"に似ていますね。暗黙のジオリファ
レンスがあると、ジオリファレンスができません。暗黙のジオリファレ
ンスを削除すれば、ジオリファレンスできるようになります。)


ヌルマスクを生かしながら、ヌル値の設定をすることも可能です。
やり方は、以下のメルマガの(2)をご覧ください。

●第248号「ヌルセルとヌルマスク(1)」
 http://www.opengis.co.jp/htm/kako_mail/mail_mag_248.htm

●第249号「ヌルセルとヌルマスク(2)」
 http://www.opengis.co.jp/htm/kako_mail/mail_mag_249.htm

===============================================================





エラー・バグ・トラブル・機能要求
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

●ドーナツポリゴンに対するバッファーの生成で、外周から内側に向け
てバッファーは発生するが、内周から外側に向けたバッファーも発生し
てほしい。

【機能要求番号】crr13920N - Buffer Zones: Add ability to create 
interior and exterior buffer zones at the same time via query


●ベクタの抜き出しで、ドーナツポリゴンの内側の島ポリゴンに対して
元と違った属性が付く。

【エラー番号】PAT15247E - The island polygons do not have correct 
attributes when extracted.

2007.12.26 付けのパッチで修正されました。


●地表面モデリングでラインからDEMを作るときのエラー。ラインにZ値
に使うレコード(テーブルはユーザが作成)がアタッチされていないと、
出来るラスタに放射状のラインが入ります。セルの値は"nan" になりま
す。

(対処法) 拡大してレコードのないラインを削除する。またはクエリを
使って、正しいデータのみを検索して使うようにする。
(例) LINE.value >= 0

+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +





□■Feature Management Database の利用□■
===============================================================

毎週報告している「エラー番号」や「機能要求番号」。

マイクロイメージ社のフィーチャ・マネージメント・データベース
(Feature Management Database)に入力して、現在の状況(ステータス)を
簡単に確認できます。

 http://www.microimages.com/support/features/

番号を入力して、

 
 

ステータスをチェックします。

 
 

===============================================================





■■■■■■■ 現 在 の T N T m i p s の 価 格 ■■■■■■

昨今の円高で価格を若干下げました。

・TNTmips シングルライセンス 	858,900円(送料・税込)
・TNTedit シングルライセンス 	518,700円(送料・税込)
・TNTview シングルライセンス  	 79,275円(送料・税込)

・TNTmips 年間バージョンアップ(年1回分) 141,750円(税込)
・OpenGIS 年間テクニカルサポート         94,500円(税込)

(価格表)
 http://www.opengis.co.jp/img/info/kakaku_list.pdf


◇ HASP-USB キーへの交換		19,950円(税込)
http://www.opengis.co.jp/htm/catalog/tntinfo/tntinfo_fixed_license.htm
※交換に際して、お持ちのTNT製品が最近のバージョンである必要があり
ます。


◆ 特別アカデミックライセンス(SAL)のご紹介
 http://www.opengis.co.jp/img/info/SAL_price.pdf

<買取>と<レンタル>の2種類があります。


◇『TNTlite日本語解説セット』V72版 好評販売中!!
	(プログラム及びサンプルデータCD付き)

	<目次>
	1.空間データの表示
		2次元データの表示
		3次元鳥瞰図の作成
	2.衛星データの取り込み
	3.ジオリファレンス
		地図画像への座標情報付与
		衛星画像への座標情報付与
	4.GPSデータの取り込み
	5.標高データの解析
		陰影図の作成
		断面図の作成
		勾配・斜面方位の演算

 http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm


☆ 新たな項目を追加して、V73 用に改訂中です。

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困ったときの問題解決フローチャート

▼STEP1「ウェブサイトで検索してみる」
▼STEP2「ウェブサイトにある情報を眺めてみる」
▼STEP3「ドキュメントを読んでみる」
▼STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」
▼STEP5「テクニカルサポート」



STEP1 「ウェブ検索テクニック」
 ▽オープンGIS検索システム
 http://www.opengis.co.jp/htm/namazu.cgi
 ▽メールマガジン検索システム
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/namazu.cgi
 ▽マイクロイメージ検索サイト
 http://www.microimages.com/search/
 ▽Google 検索
 http://www.google.co.jp/
 とくに、and検索(キーワードの間に空白)、not検索(キーワードの前に
 - や not を入れる)、とは検索(キーワードの後ろに "とは" をつける)
 を使いこなすと、便利です!


STEP2 「ウェブサイトの有用な情報源」
 ▽オープンGIS ウェブサイト「基本操作」
 http://www.opengis.co.jp/htm/basic/title.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「メニュー解説(Flash)」
 http://www.opengis.co.jp/flash/index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「SML スクリプトの解説」
 http://www.opengis.co.jp/sml/sml_index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「作業で必要となる情報を集約したポスター類」
 http://www.opengis.co.jp/htm/gallery/index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「メルマガバックナンバー」
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/index.htm [日本語]


STEP3 「ドキュメントを読んでみる」
 ▽オープンGIS ウェブサイト「その他ドキュメント一覧ページ」
 http://www.opengis.co.jp/htm/documents.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「チュートリアルテキスト&リモセンテキスト」
 http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm [日本語]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「ワンポイントテクニック集」
 http://www.microimages.com/didyouknow/ [英文]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「TNT入門(Getting Started)」
 http://www.opengis.co.jp/htm/getstart/getstart.htm [日本語]
 http://www.microimages.com/getstart/ [英文]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「リファレンスマニュアル」
 http://www.microimages.com/refman/


STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」
 メーリングリストに参加されたい方は、
 info@opengis.co.jp までご連絡ください。
 弊社からの対応は バグ対応と、新製品告知のみになります。


STEP5「テクニカルサポート」
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年間テクニカル・サポートに加入されている、
ユーザーさまのみを対象としております。

基本的には、登録アカウント1つに対して
1ユーザーを配信対象としておりますが、
例えば、研究室の予算で加入された場合などは、
ご購入いただいた指導教官と、実際に TNTmips で作業を行う学生1名の、
計2ユーザーを対象として配信させていただきます。

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学生さん2名が同じくらい使用する場合は、
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また、テクニカル・サポートの期限を3ヶ月以上過ぎてしまった場合は、
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サポート期限が3ヶ月過ぎたとお考えください。


転勤、ドメイン変更などでメールアドレスが変わった場合は、
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>サービスその1:緊急なバグ情報はすぐにメール配信します。
>サービスその2:TNTmips に関するどんな質問にも TEL/e-mail/FAX で
対応。
>サービスその3:対応は最優先で行います。
>サービスその4:専用FAX質問用紙をお送りします。
>サービスその5:週に1回メールマガジンを配信します。
>サービスその6:展示ブースへご来場の方には特製オリジナルグッズを
進呈。
>サービスその7:サポート対応で FTP サイトを 5 GB まで利用できま
す。
>サービスその8:メルマガ・バックナンバー・サイトも利用できます。
>サービスその9:FTP サイトを 5 GB に拡張しました...
>サービスその10:現在計画中です...


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