Subject: [ts-mag:00125] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 117号】
    Date: Sat, 20 Sep 2003 21:10:43 +0900
    From: Taichi FURUHASHI

OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users        2003/9/19
Keywords: OpenGIS,TNTmips,TopologyLevel,Edit,Style,SML,IKONOS,Ortho


オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第117号「  ト ポ ロ ジ ー の レ ベ ル っ て 何 ? ? ?  」
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                       株式会社 オープンGIS




ライン同士は繋がって欲しいんだけど、ポリゴンはできなくてもいい...

ここは繋がって欲しいけど、ここは繋がなくてもいい...



一体何のこと? って思われるかもしれませんが、例えば、高速道路の
インターチェンジのようなループを想像してください。このループを2
次元のシンプルなラインで表現すると、立体交差の部分は特に繋がるわ
けではありません。単なる1本のラインです。




でも、トポロジを考えますと、高さ情報がないので、どうしてもここに
交差点(黄色いマーク)が発生してしまう...




というわけで、繋がって欲しいところは繋がって欲しいんだけども、
繋がって欲しくないところは、繋がらなくてもいい...




なんて、ベクタデータを作成する際に、どうしてもいろいろな要望がで
てくるものです。

今週は、この「繋がり方」の使い分けテクニックについてご紹介してい
きましょう。


●


さて、そもそも GIS の世界では、ポイントやラインやポリゴンといった
情報を扱う際に、大きく2つのデータ形式を選択します。

それは「ベクタデータ」と「CAD データ」。

ベクタデータと CAD データの最大の特徴は、繋がっている情報をきちん
と管理できているかどうかということ。 つまり「繋がり」という概念。
専門用語で言いますと「位相(イソウ)」とか「トポロジ(Topology)」と呼
ばれる考え方があるのがベクタデータです。

しかし、一言で「繋がり」といっても、いろいろな「繋がり」があるわけ
で、線と線が繋がったり、面と面が繋がったり、はたまた線と面が繋がっ
たりというすべてを表現しなければなりません。そこでいよいよ TNTmips
の話題に移っていきますが、TNTmips では、この繋がりを、米国の国家画
像地図局(NIMA: National Imagery and Mapping Agency's) という組織が
定義しました、6段階のレベルに沿ってデータを管理しています。

では次に、そのトポロジレベル(レベル0〜5)についてご紹介しましょう。


●


まず、各レベルには2次元のものと3次元のものがあります。 レベル1
の2次元ベクタデータとか、 レベル3の3次元ベクタデータといった具
合に種類分けされます(レベル4とレベル5は、概念上3次元でしか適用
できません)。 ただ、サンプルデータとしてご用意したデータは、より
簡単に考えられるよう2次元データとしてご紹介します。
 どんなデータかといいますと、今回はこのような「あみだくじベクタ
データ」を作成してみました。しつこいようですが2次元データです :-)




レベルの数字が小さいほど、繋がりの構成要素が少なく、シンプルなデー
タ構造になっています。 逆にレベルの数字が大きいほど、繋がりの構成
要素が多く複雑なデータ構造となるわけです。

それぞれについて、詳しくご紹介いたしましょう。



☆レベル0『トポロジなし:No Topology (Boundry Representation) 』



1本1本のラインはどことも繋がっていない、CAD のラインのような
データです。ネットワーク解析などに利用できませんので、普段はあま
り使用しません。構成要素は、ラインとその両端のノードだけ。別名「ス
パゲティ・ベクタ」とも呼びます。この状態では、それぞれのラインは
まったく繋がっていないため、あみだくじはできません。


☆レベル1『ネットワーク:Network (Non-planar Graph) 』



あみだくじベクタからわかるとおり、ラインとラインを繋げるノードが
使用できます。ただし、どこにノードを発生させるのかの判断はユーザ
側で行いますので、このようなラインの飛び越しのような事が可能にな
ります。TNTmips は自動的にノードを作成してくれません。
 逆にノードの必要な場所と必要でない場所を明確に区別できるので、
道路ネットワーク網などの表現には向いています。構成要素は、ライン
と端ノード、それに交点ノードです。あみだくじには一番向いているト
ポロジレベルですね。


☆レベル2『プレイナー:Planar (Planar Graph) 』



サンプルのあみだくじベクタをレベル2に変更すると、ラインの飛び越
し部分にも、黄色いノードが発生してしまいます。つまり、ラインとラ
インの交点ノードは、TNTmips が自動的に認識してしまうのです。レベ
ル1のような本来のあみだくじ構造は、残念ながら表現できません。た
だ、注目すべき点は、ラインとラインの交点ノードは自動認識するもの
の、ラインが面的に閉じている状態でも、そこにポリゴンといった面要
素が発生しません。あくまでライン要素までの構造です。構成要素は、
ラインと端ノード、それに交点ノード。大まかにレベル1の交点ノード
自動認識タイプとお考えください。


☆レベル3『ポリゴナル:Polygonal (Full Planar Topology) 』



このレベルになりますと、サンプルデータはだんだんと本来のあみだくじ
から離れていきます。といいますのも、ラインで閉じられた場所には、今
度は自動的に面的要素であるポリゴンが発生します。普段 TNTmips がデ
フォルトで使用している、一番馴染み深いトポロジーレベルですね。構成
要素をまとめますと、ラインと端ノード、交点ノード、それにポリゴンと
島状ポリゴン。いつものポリゴンはレベル3だとお考えください。


☆レベル4『未対応:(3D Face Topology) 』
ここから上のレベルは、残念ながら TNTmips では未対応のトポロジレベル
ですので、サンプルデータでのご紹介はできません。一体どんな構造なの
かといいますと、レベル3では表現できなかった3次元的なポリゴン構造、
例えば、オーロラカーテンのようなウネウネとしたポリゴンや、螺旋状の
スロープのような立体的なポリゴンを表現できるようになります。 そう
いった意味で、いままで2次元的に「データ領域(Extents)」というもの
が定義できましたが、レベル4以降になりますと、そのようなデータが存
在する範囲そのものが表現できなくなる点でレベル3と大きく異なります。
構成要素そのものは、レベル3と同じ。ただ、すべてを3次元で考える事
が異なります。


☆レベル5『未対応:(Full Spatial Topology) 』
最後にご紹介するレベル5は、ラインやポリゴンといった要素の他に、さ
らに3次元的な要素が追加されています。それは体積を持った要素で、あ
る立体的なポリゴンが立体空間的に閉じたとき、その中には体積を持った
立体要素が自動的に生成されます。まるで、ラインが閉じてポリゴンが自
動的に生成されるような、レベル3の発想と同じですね。長くなりますが、
このレベル5の構成要素は、ラインと端ノード、交点ノード、ポリゴン、
それに立体要素。サンプルがないため、なかなか想像しにくいですが、ご
勘弁ください。


●


ふと周りを見渡しますと、身の回りの物を、いかにトポロジを持たせて表
現できるのかということについて考えさせられます。

手当たりしだい GIS で表現してみるなんていかがでしょうか?






今週の過去プチ・テクニック
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
"
" このラインを修正したいなぁ...
"
" Edit/Spatial Data... 機能にて、ベクタデータや CAD データを編集
" 作業中に、既存のライン上で右クリックすると、Edit とか Snap と
" いったメニューが出てきます。 非常に手続き的な TNTmips の編集
" 機能ですが、この右クリック・メニューを使うことで、いともかんた
" んにラインやポリゴンの編集を行うことができますので是非お試しを!
"
"
" この中に、Delete メニューも加わると、便利なのに...
" と思われた方、もちろんできますよ!!
"
" Spatial Data Editor ウィンドウのメニュより Option/Right Mouse
" Button... を選び、右クリックメニューに追加したい機能を選びま
" しょう。あとは、再度 Edit/Spatial Data... を実行すれば完璧です。
"
" (プチテクニック第38号を改良)
"
"
""""  隔 週 で 新 / 過 去 テ ク ニ ッ ク を 交 互 に 発 信  """"




New Things 最新情報
=================================================================
=
= 「スタイルの作成と使用」の追加【TNT入門】
= http://www.opengis.co.jp/htm/getstart/getstart.htm
=
= 数値地図50000 [地図画像] 変換SML の更新【基本操作】
= http://www.opengis.co.jp/htm/basic/topo50k.htm
=
= 数値地図200000 [地図画像] 変換SML の更新【基本操作】
= http://www.opengis.co.jp/htm/basic/topo200k.htm
=
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同時に、TNTlite の日本語解説セットも、オープンGIS 独自パッチや、
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詳しい内容はこちらをご覧ください。
http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm

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バグ・トラブル情報
???
???
??? MacOSX 版 TNTmips にてお使いの際に、なんだか毎回ウィンドウの
??? 高さが下がってくるぞ...? という場合があります。
???
??? この現象、なぜか起動のたびに、ウィンドウのバー1つ分ずつ表示
??? 位置が下がってくるのですが、ようやくといいますか、いつの間に
??? かといいますか、最新の修正パッチを充てることで治っております。
???
???
???
??? それほど、解析処理には影響いたしませんが、
??? どうしても気になる!! という場合は、大変お手数ですが、米国マイ
??? クロイメージ社のサイトより、修正パッチをダウンロードし、充て
??? ていただけますでしょうか。
??? http://www.microimages.com/freestuf/tntpatch/
???
??? また、詳しいパッチの充て方につきましては、こちらのサイトをご
??? 覧ください。
??? http://www.opengis.co.jp/htm/patch/patch.htm
???
???
???





今週の話題 on メーリングリスト
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~
~ 以前、ユーザーさまより、高解像度衛星IKONOS と Quick Bird の有理
~ 多項式係数オルソ補正機能を追加して欲しいとの要望をいただきました。
~
~ マイクロイメージ社へ日本からの強い要望ということで、リクエスト
~ しまして、TNTmips v6.9 から,標準機能で IKONOS,QuickBird の
~ 有理多項式係数オルソ変換ができるようになりました。
~ http://www.microimages.com/freestuf/tntpatch/
~ (Ortho-Rectification of QuickBird and Ikonos Images)
~
~ 詳しい内容につきましては、こちらの資料が参考になるかと思います。
~
~ ★Rational Polynomial Orthorectification of IKONOS/Quickbird Images
~ http://www.microimages.com/documentation/69rpc.pdf
~
~ ★Improve RPC Rectification using Control Points
~ http://www.microimages.com/documentation/69imprpc.pdf
~
~
~
~ ただし、オルソ補正が可能なプロダクトは、それぞれ基本プロダクト
~ ではなく、特別なプロダクトになりますので、詳細につきましては、
~ 衛星画像データサービス各社へお問い合わせください。
~
~ ■IKONOS "Geo Ortho Kit"
~ 日本スペースイメージング株式会社
~ http://www.spaceimaging.co.jp/
~
~ ■QuickBird "Ortho Ready Standard Product"
~ 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
~ http://www.hgiis.com/index_jp.html
~
~ 今後とも、みなさまのご意見・ご要望をお待ちしております。
~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 メーリングリストに参加されたい方は、
 info@opengis.co.jp までご連絡ください。
 弊社からの対応は バグ対応と、新製品告知のみですが、
 ユーザーさまの間での情報交換の場として
 多くの方に利用されています。






■■■■■■■ 現 在 の T N T m i p s の 価 格 ■■■■■■■

・TNTmips シングルライセンス 840,000円(税別・送料別)
・年間バージョンアップ(2回分) 140,000円(税別)
・年間テクニカルサポート 90,000円(税別)


普段より、元価格にあまり上乗せしていない分、
円相場に応じて価格が変動いたしますことを
ご理解よろしくお願いいたします。

わからない点などありましたら、
info@opengis.co.jp までご連絡ください。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■






############# このメールマガジンの配信について ################

このメールマガジンは、
年間テクニカル・サポートに加入されている、
ユーザーさまのみを対象としております。

基本的には、登録アカウント1つに対して
1ユーザーを配信対象としておりますが、
例えば、研究室の予算で加入された場合などは、
ご購入いただいた指導教官と、実際に TNTmips で作業を行う学生1名の、
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1アカウントに対して合計3名以上の配信は行いません。
学生さん2名が同じくらい使用する場合は、
申し訳ありませんが、じゃんけん等で1人に決めてください。



また、テクニカル・サポートの期限を半年以上過ぎてしまった場合は、
メールマガジンの配信を停止させていただきます。

メールマガジンが配信されなくなった時は、
サポート期限が半年過ぎたとお考えください。



転勤、ドメイン変更などでメールアドレスが変わった場合は、
お手数ですが、弊社までご連絡ください。



テクニカル・サポート活用案内
>サービスその1:緊急なバグ情報はすぐにメール配信します。
>サービスその2:TNTmips に関するどんな質問にも TEL/e-mail/FAX で対応。
>サービスその3:対応は最優先で行います。
>サービスその4:専用FAX質問用紙をお送りします。
>サービスその5:週に1回メールマガジンを配信します。
>サービスその6:展示ブースへご来場の方には特製オリジナルグッズを進呈。
>サービスその7:サポート対応で FTP サイトを 20MB まで利用できます。
>サービスその8:メルマガ・バックナンバー・サイトも利用できます。
>サービスその9:現在計画中です...



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サービスを提供していきたいと考えております。

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 TNTmipsに関わる新しいニュースを、
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