Subject: [ts-mag:00121] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 113号】
    Date: Mon, 25 Aug 2003 20:40:44 +0900
    From: Taichi FURUHASHI

OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users       2003/8/22
Keywords: OpenGIS,TNTmips,Georeference,Ctrl+E,Import-Export,ODBC


オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第113号「   座 標 情 報 の 考 え 方 ( ラ ス タ 編 )   」
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                       株式会社 オープンGIS




「ラスタデータ」と「ベクタデータ」の違いって何ですか?

と、先週と同じような書き出しですが、

V,X,Y
V,X,Y
V,X,Y

のような、ひとつひとつの空間情報(V:Value)ごとに、X,Y座標情報が付い
ているベクタや CAD データと比べますと、ラスタデータはこのように

V V V V V
V V V V V
V V V V V

と、値(V:Value)だけが規則正しく並んでいる、非常にシンプルな構造です。
ベクタと比べて X,Y の情報が必要ありませんので、その分のデータが格納
できるわけです。
 では逆に、ラスタの X,Y座標情報は、いったいどのように管理しているの
でしょうか?


●


【ジオリファレンス情報の確認方法】

まずは、そもそもこのラスタデータに座標情報が付いているか、いないか
を確認する方法についてご紹介いたしましょう。

▽メインメニューより Display/Spatial Data... [New 2D Group] 機能で
 データを表示する。

▽Group View ウィンドウの凡例部分から、右クリックメニューを辿りま
 して [View Extents...] を選択。

 


■このように表示された場合は、座標情報がまったく付いていない事を
 意味します。ライン数とかカラム数くらいしか情報がありませんね。

 


■このように表示されると、座標情報が付いていることを意味します。

 


いつでも素早く確認する場合は、この Extents 情報が非常に便利です。
また、この作業自体はベクタや CAD の場合と同じですね。





【コントロールポイントの扱い】

使用しているラスタが座標情報を持っていることを確認しましたら、今度
はどのような形で座標情報が付いているのかを確認してみましょう。
 一言でいいますと、ラスタの場合は代表点に座標を書き込むコントロール
ポイント方式の座標情報管理方法を用いています。先週の復習になってし
まいますが、いわゆる「明示的ジオリファレンス」座標を与えるのです。

しかもラスタによってそのポイント数が異なることがわかりにくい。
そこで、次の作業としまして、「コントロールポイント(GCP:Ground Control
Points)がいくつあるか?」を確認する方法をご紹介しましょう。

▽メインメニューより、Support/Maintenance/Project File... を実行。

▽対象のラスタオブジェクトをダブルクリックし、中にありますジオリ
 ファレンス・サブオブジェクトを選択(黒い枠で囲む)します。

▽最後に、左下の Info ボタンをクリックすると、Object Information
 ウィンドウが開いて、詳細のジオリファレンス情報を表示します。

■もし、Georef Type: という項目に MATRIX とあると、一番シンプルな
 1箇所だけのコントロールポイント設定です。

 

 ラスタ画像の左下隅など、1点を指定して座標値と、ピクセルサイズを
 指定しているだけのシンプルな形ですので、Simple Raster Georeference
 と呼ばれています。他の GIS では、この方法だけで、すべてのラスタの
 座標付けを行っているソフトがありますが、TNTmips としてはもっと、
 高度に座標を管理していますので、多くの場合は次の複数個 GCP による
 座標付けを行っています。


■さて、Georef Type: が CTRLPOINT の場合は、更に numctrlpts: という
 項目を探し出して、コントロールポイントがいくつあるのかを確認しま
 しょう。 4個以下であれば、ほとんどの場合リサンプリングが不必要な、
 変換誤差(Affine 変換誤差)ゼロの座標付けです。

 


■一方で、Georef Type: が CTRLPOINT でかつ、numctrlpts: が 5個以上
 の場合は、変換誤差(Affine 変換誤差)を含む形でコントロールポイント
 が与えられておりますので、後々リサンプリングを行うことをお薦めし
 ます。

 


だんだん、話がややこしくなってきましたね。

ここでの確認方法をまとめますと、ラスタのサブオブジェクトを確認する
ことで、

 (1)コントロールポイント1個
 (2)コントロールポイント4個(以下)
 (3)コントロールポイント5個以上

のどれかに分けられるというところまでご紹介しました。

とくに、(3)の場合は、コントロールポイントによる アフィン変換で誤差
が発生しているため、後々ラスタを、GeoTIFF などの別形式で出力する際
にはリサンプリング処理が必要です。

では最後にリサンプリングについてご紹介いたしましょう。





【リサンプリングの必要性】

さあ、「リサンプリング」という言葉がでてきました。耳慣れないかもし
れませんが、日本語にするならば、「再配置」とか「再配列」という言葉
になるかと思います。ラスタデータの幾何補正で使用される用語です。

この処理を行うことで、歪みを持ったラスタに対して幾何学的な修正を
行うことができるのですが、中でも、アフィン変換という変換モデルは、
ラスタの拡大・縮小・回転・平行四辺形的な歪みを補正することができ、
TNTmips ではデフォルト的存在として、すべてのコントロールポイントか
ら計算された結果をリアルタイムに、ディスプレイ上に表示しております。

アフィン変換は、コントロールポイントが3点ありますと、変換誤差ゼロ
で置き換えられますが、4点以上の場合は誤差を持ちます(このような、
コントロールポイントの必要数は変換モデルによって変わってきます)。
つまり、先ほどの (2) と (3) の状態ですと、変換誤差がゼロなのかどう
かを確認する必要があるのです。誤差を持っているようであれば、予めリ
サンプリングを行っておいたほうが、毎回毎回変換するよりも圧倒的に表
示速度が速くなりますし、表示に限らず多くの処理を行う上では、ラスタ
の配列を綺麗に整えたほうがトラブル回避にもつながります。

まずは、リサンプリングを行う必要があるかどうかの判断として、コント
ロールポイントの誤差を見てから、決めましょう。

▽メインメニューより、Edit/Georeference... 機能を実行。

▽File/Open... を選択。

▽ジオリファレンス・サブオブジェクトを選択して OK。

▽Model/Affine になっていることを確認。

▽Georeference ウィンドウの中央に表示されている、各コントロール・
 ポイントのうち右側に表示されています、Residuals の値を見ます。
 (X,Y方向に誤差を分離したり、単位をピクセルなどに変更することが可
 能です。)

■この Residuals の値がゼロであれば、特別な理由がない限り、リサン
 プリングを行う必要はありません。

 


■もし Residuals の値が大きい(この判断は、ユーザーさまによって異な
 りますが...)のであれば、リサンプリングを行っておくことをお薦めい
 たします。
 


●


ここでは、詳しいリサンプリング処理については、ご紹介しませんが
メインメニューより Process/Raster/Resample/Automatic... で簡単に
行えます。
 結果だけを簡単に申しますとリサンプリング処理を行うことで、(3) の
状態から (2) の状態、つまりコントロールポイントが4点(しかも、四隅
の位置が代表点)となり、アフィン変換誤差がゼロへと変わります。

はたまた、リサンプリング処理ではありませんが、Edit/Georeference...
機能で、(1)の状態のラスタを File/Open... しますと、自動的に (1)の
状態から (2)の状態に変わります(Save しないと変換結果を保存されませ
んが)。


つまり、(1)、(2)、(3)のいずれかの状態であっても、一番 TNTmips で
扱いやすい形は、(2)の「 四隅GCP 且つ アフィン変換誤差がゼロ 」な
のです。


???


ここで、鋭い方はハテナマークが浮かぶかもしれません。
なぜ3点ではなく、4点なの? という疑問ですね。

確かに3点であれば、アフィン変換の場合必ず誤差ゼロになるので、「わ
ざわざ4点にしなくても、3点で十分ではないか?」と考えられますが、
ラスタの場合、長方形の配列ですので、四隅にポイントを置いたほうが、
代表点として直感的ですし、その分布範囲も簡単に求まる点で便利です。

故に、TNTmips では、あえて変換誤差をゼロにしたかたちで、四隅にコン
トロールポイントを置いております。



今回の結論ですが、

「 四隅にGCP 且つ アフィン変換誤差がゼロ 」

これが、TNTmips のデフォルトです。









今週の過去プチ・テクニック
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
"
" 編集ボタンはどこ?
"
" TNTmips でデータ作成を行う場合、メインメニューより Edit/Spatial
" Data... 機能を用いますが、この作業では、たくさんのウィンドウが
" 登場して、どこにどんなボタンがあるのか、わからないことが良くあ
" ります。
"
" そんなときに便利なのがショートカットキー。
"
" とくに、頻繁に使用するのは、ラインやポリゴンの形状を修正したり
" 消したりする Edit Element ボタンですが、このボタンがわかりに
" くい...
"
" 
"
" こで Ctrl キーと E キーを同時に押してみましょう。
"
" たとえ、Vector Tools ウィンドウが見えていなくても、ちゃんと
" Edit Element ボタンを押したことになります。
"
" まだまだたくさんショートカットがありますが、まずはこのキー
"
""""  隔 週 で 新 / 過 去 テ ク ニ ッ ク を 交 互 に 発 信  """"





New Things 最新情報
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=
= 入出力形式一覧サイトを更新しました 【TNT 製品紹介】
= http://www.opengis.co.jp/htm/basic/import_export.htm
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= ODBC 経由での「テーブルリンクエラー」が修正されました【修正パッチ】
= http://www.opengis.co.jp/htm/patch/patch.htm#THIRD
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??? ルをリンク or コピーする際にエラーメッセージが発生する場合があ
??? ります。
???
??? もし、そのような場合は、大変お手数ですが、マイクロイメージ社
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??? てていただけますでしょうか。
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??? 参照ください。
??? http://www.opengis.co.jp/htm/patch/patch.htm#THIRD
???
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