Subject: [ts-mag:00096] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 89号】
    Date: Fri, 07 Mar 2003 10:51:44 +0900
    From: Taichi FURUHASHI

OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users       2003/3/7
Keywords: OpenGIS,TNTmips,Attachment Type,Map Culcurator,ASPECT


オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第89号「  レ コ ー ド と エ レ メ ン ト の 複 雑 な 関 係 !!  」
#################################################################
                       株式会社 オープンGIS




3月といえば、引越しシーズン。

住民票の移動や、ライフラインの契約変更など、たくさんの事務処理を
こなす必要がありますね。

そんな複雑な手続きを意識しながら、GIS で空間的な表現すると、どの
ようなデータベースを構築して、情報の記録の仕方はどうなるのか、そ
んな想像を膨らませてみました。


●


一つ一つについて細かく触れていくと、話題が広がりすぎてしまいます
ので、中でも重要となるのは、住民票データなどの属性を入力する各種
テーブルと、それに対応する市区町村などのポリゴンとの関係について
考えてみましょう。

と文章だけですと、なんのことかわかりにくいですね。

具体的には、テーブルの設定ウィンドウで定義する「アタッチメント・
タイプ」の選択が重要なのです。 (設定ウィンドウを表示するには
テーブルのメニューより Table/Edit Definition を選択します)




普段、属性付けを行う際によく登場するこの設定ウィンドウですが、
アタッチメント・タイプを切り替えることで、ポリゴンと属性の対応付け
を細かく制限することができます。適切な制限は間違ったデータ入力を
未然に防ぐ効果があるのです。

市区町村ポリゴンに付けられる、属性データは、あるルールに則って関連
付けられていますので、そのルールを TNTmips でも指定してみましょう。


●


ではどんな種類の制限があるのか?といいますと、次の6種類です。

・No Restriction
・One Record per Element
・One Element per Record
・One to One
・Related Only
・Implied One to One

なんのことだか、やっぱりよくわかりませんね。
まず言葉の意味からご紹介いたしましょう。

エレメント(Element)とは、ベクタデータや CAD データの中の一つ一つ
の点やラインやポリゴンやノードのことです。

またレコード(Record)とは、テーブルの中に記録される情報の1行分の
ことです。表計算ソフトの画面を想像してみてください。あの表の各行
(数字がついている方向)がレコードだと思ってください。

このエレメントとレコードのつながり方に応じて、アタッチメント・タイ
プが区別されています。


●


それぞれのアタッチメント・タイプについて、ご紹介しましょう。

また、名前が非常にわかりにくいのですので、独断と偏見で勝手に○○型
というように名前を付けてみました。かなり乱暴なネーミングですので、
あまり参考にならないかもしれませんが、そんなものかとイメージして
いただければ幸いです。



□柔軟型(No Restriction):制限なし

通常 TNTmips でデータベースを構築していく場合、一番使用頻度の高い
設定が、この No Restriction です。一番制限が緩いですので、エレメ
ントもレコードもいろいろな組み合わせでつなげていくことができます。
もし、特に理由がなければ、この No Restriction に設定しておくこと
をお奨めいたします。




□行政ポリゴン型(One Record per Element):エレメントごと一つのレコード

エレメントという言葉をポリゴンに置き換えると、少しだけわかりやすく
なりますね。「ポリゴンには一つのレコードだけ」という制限。2つのレ
コードが同じポリゴンに与えられることはありえないと制限しているわけ
ですから、例えば市区町村ポリゴンの名前だとか、行政コードといった具
合に、属性レコードがバッティングしない場合に効果を発揮します。仮に
台東区ポリゴンに墨田区という属性を与えようとすると、「既に台東区と
いうレコードが付いています」的なエラーメッセージが現れるわけです。
 また例えば、市区町村ポリゴンに人口属性がついていたとします。しか
し、ある行政では飛び地があるために、ポリゴンが1つではなく、2つで
表現されています。この2つのポリゴンにそれぞれ行政区全体の人口属性
を与えると、どうなるでしょうか? 人口の集計を行うと、ポリゴン2つ分
が集計されて実際の人口の2倍になる... そんな事がないように、同じ属
性レコードを、複数のポリゴンで共有することは可能です。そういった意
味であえて、「行政ポリゴン型」とネーミングしてみました。




□住基台帳型(One Element per Record):レコードごと一つのエレメント

例えば、台東区から墨田区へ引っ越したとします。あまり現実的ではあり
ませんが、個人データは一つの大きなテーブルに、日本国民全員の情報
として1行1行記録されていることとしましょう。1レコードに相当する
のが1個人の情報というわけで(まさに住基ネットの世界)、約1億3千万
レコードという膨大なテーブルとして管理されていることになります。そ
の各個人個人のレコードが、自分の住んでいる市区町村ポリゴンへとリン
クされていることをイメージしてください。
 まったく同じ人が複数の市区町村に同時に住民登録されることを防ぐた
めには、各個人のレコードが関連付けられるポリゴンは一つだけであると
制限する必要がありますね。Aさんのレコードが台東区ポリゴンにも墨田
区ポリゴンにも関連付けられていることはおかしいと制限をかけるわけで
す。この制限が One Element per Record になります。




□シンプル型(One to One):レコードとエレメントが一対一

そもそも、複数のエレメントが一つのレコードに関連付けられたり、複数
のレコードが一つのポリゴンに関連付けられたりすると、便利な反面わか
りにくく混乱してしまう場合があります。それよりも、各エレメントに付
与される属性レコードは常に一つで、属性レコードが関連付けられるエレ
メントも常に一つという、一対一の関係のほうが、データの重複という面
では無駄があるものの、考えやすいといえます。他の GIS では、この一番
シンプルな One to One データベースのみしか扱えないものもあるそうで
す。




□入力禁止型(Related Only):新規入力はできない

これは、外部データ(例えばエクセルの表データとかアクセスの表データ)
をインポートした場合によく利用します。データ入力自体はデータベース
ソフトで行っておいて、最終的にリレーショナルデータベースを構築する
段階にのみ、そのデータを TNTmips で扱う。この場合は逆にデータをいじ
られないよう Related Only にしておくと、データの追加入力など制限が
かかりますので、安心して使えます。逆に、いくら属性を入力しようとし
てもうまくいかない!! という場合は、この Related Only モードになって
いる可能性があります。但し関連付けの制限はありませんので、入力ので
きない No Restriction だとお考えください。


□内部テーブル一対一型(Implied One to One):内部テーブルを扱う特殊な関係

TNTmips は内部テーブル(Internal Table)によって、点やライン、ポリゴン
といった各エレメントを管理しています。このオオモトのテーブルから値を
引き出す場合にのみ、使用する特殊な制限です。
 Internal Table の細かい話は、それだけで1回分のメルマガになってし
まいますので、ここでは省略しますが、内部テーブル用の設定だということ
だけ、覚えていただければよいかと思います。普段はあまり使いませんが...


●


非常にわかりにくい話題でしたが、データベーステーブルを扱っていく上で、
レコードとエレメントの関係は常に意識しておかなければならない、重要な
要素です。データベースの構築には、どんなに慎重に作業しても、データの
入力ミスがつき物ですが、うまく制限をかけてあげることで、ミスを減らせ
ます。








今週の過去プチ・テクニック
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
"
" 例えば、緯度経度の座標値から平面直角座標系の値に変換したい!!
"
" そんなときは、
" メインメニューより Support/Map Culcurator... 機能を使うと便利。
"
" Manual Entry タブは直接座標を入力するモード。
" Read File タブは複数ポイントを一度に変換するモード。
"
" 但し、厳密な日本の測地系変換は、国土地理院の飛田さんが作成した
" TKY2JGD や trns96(or trns2000)というプログラムをお使いください。
"
" http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/tky2jgd/about.html
" http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/software/
"
"
""""  隔 週 で 新 / 過 去 テ ク ニ ッ ク を 交 互 に 発 信  """"




New Things 最新情報
=================================================================
=
= 斜面方位計算のスジ状ノイズバグが修正されました【TNT 修正パッチ】
= http://www.opengis.co.jp/htm/patch/patch.htm#THIRD
=
=================================================================




バグ・トラブル情報
???
???
??? 標高ラスタ(DEM) を使いまして、斜面方位(ASPECT)の計算を行う
??? Process/Raster/Elevation/Slope,Aspect,and Shading... 機能
??? にて、出力される ASPECT ラスタにスジ上のノイズがはいるバグ
??? が修正されました(TNTmips ver6.7)。
???
??? もし、出力結果にスジ上のノイズが含まれておりましたら、
??? マイクロイメージ社のサイトより、次の2つの最新パッチをあてて
??? ください。
???
??? rastanly.zip
??? needed.zip
???
??? マイクロイメージ パッチ配信 FTP サイト
??? ftp://ftp.microimages.com/pub/outgoing/tntpatch670/
???
???
??? また、詳しいパッチの充て方につきましては、こちらの解説サイト
??? をご覧ください。
??? http://www.opengis.co.jp/htm/patch/patch.htm
???
??? 大変お手数ですが、よろしくおねがいいたします。
???
???
???
???





今週の話題 on メーリングリスト
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~ 今週はとくにありませんでした。
~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 メーリングリストに参加されたい方は、
 info@opengis.co.jp までご連絡ください。
 弊社からの対応は バグ対応と、新製品告知のみですが、
 ユーザーさまの間での情報交換の場として
 多くの方に利用されています。





■■■■■■■ 現 在 の T N T m i p s の 価 格 ■■■■■■■

・TNTmips シングルライセンス 840,000円(税別・送料別)
・年間バージョンアップ(2回分) 140,000円(税別)
・年間テクニカルサポート 90,000円(税別)


普段より、元価格にあまり上乗せしていない分、
円相場に応じて価格が変動いたしますことを
ご理解よろしくお願いいたします。

わからない点などありましたら、
info@opengis.co.jp までご連絡ください。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




############# このメールマガジンの配信について ################

このメールマガジンは、
年間テクニカル・サポートに加入されている、
ユーザーさまのみを対象としております。

基本的には、登録アカウント1つに対して
1ユーザーを配信対象としておりますが、
例えば、研究室の予算で加入された場合などは、
ご購入いただいた指導教官と、実際に TNTmips で作業を行う学生1名の、
計2ユーザーを対象として配信させていただきます。

1アカウントに対して合計3名以上の配信は行いません。
学生さん2名が同じくらい使用する場合は、
申し訳ありませんが、じゃんけん等で1人に決めてください。



また、テクニカル・サポートの期限を半年以上過ぎてしまった場合は、
メールマガジンの配信を停止させていただきます。

メールマガジンが配信されなくなった時は、
サポート期限が半年過ぎたとお考えください。



転勤、ドメイン変更などでメールアドレスが変わった場合は、
お手数ですが、弊社までご連絡ください。



テクニカル・サポート活用案内
>サービスその1:緊急なバグ情報はすぐにメール配信します。
>サービスその2:TNTmipsに関するどんな質問にも対応します。
>サービスその3:対応は最優先で行います。
>サービスその4:専用FAX質問用紙をお送りします。
>サービスその5:電話・電子メールも、もちろん最優先で対応いたします。
>サービスその6:週に1回メールマガジンを配信します。
>サービスその7:展示ブースへご来場の方には特製オリジナルグッズを進呈。
>サービスその8:サポート対応で FTP サイトを 20MB まで利用できます。
>サービスその9:現在計画中です...



「これで年間9万円は安い!!」と感じていただけるような
サービスを提供していきたいと考えております。

よろしくお願いいたします。




============ おことわり =============

※OpenGIS Mail Magazine for T.S.Uでは、
 TNTmipsに関わる新しいニュースを、
 毎週金曜日に、皆さまへご提供させていただきます。

※このメールマガジンの転載・転送はご遠慮ください。

================================